2014環境報告書|信州大学
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国や地域によって環境に対する意識や行動は違います。これは、居住する環境や習慣の違いから生じるのではないか、と考え、私はネパールにおいて、都市部と山間部では、環境に対してどのような違いがあるか調べる事を目的にアンケート調査を行ないました。視察先のホテルやレストラン、農場などで、市民・学生・農家を対象に、カトマンズで67名、ポカラ15名、マルファ8名の合計90名に調査を行ないました。ネパールにおいて大気汚染が起きていると思うか、という問いに対して全体では、70%の人が起きていると回答しましたが、地域ごとに見てみると、カトマンズでは87%、ポカラとマルファでは約60%という結果でした。水質汚染に関しても、カトマンズで81%の人が起きていると回答し、ポカラでは、60%、マルファでは、38%です。このように、ネパールでも、都市部と山間部の間で環境意識に差が出てきています。特に、マルファは、ヒマラヤ山麓の村で、水質汚染があまり進んでおらず、その傾向が顕著に出たと思います。先述したような環境問題に関する基礎的な質問に加えて、日本との意識の差を考えるために、日本で行なわれている意識調査の項目をネパールでも実施しました。全体としては、日本の方が環境への意識が高い傾向が見られましたが、エネルギーを節約するという項目では、ネパールの人々の意識も高く、環境問題への関心は世界共通になっていることを実感させられました。また、調査のプロセスで国の状況の違いにより、こちらの質問での意図が、違うものとして受け取られてしまうことにも気が付きました。例えば、「水の無駄遣いをしない」、という質問では、「日本では十分に水が使える状況の中で、環境を守るために節水をしているか」という意味合いになります。しかし、ネパールでは、使える水が限られており、環境保護の節水というよりも、生活していくために節水は当たり前のことで、いわば「普通以上に水に恵まれていますか」ということを問いているような意味になってしまいます。国や地域によって、前提となる環境が異なり、解決すべき課題も全く別のところにあるということを本調査から学びました。こうした経験を元に、環境問題と向き合っていきたいと思います。藤原 亜沙美さん (人文学部人文学科3年)01REPORTネパールの都市部と山間部で異なる環境への意識平成25年度 環境教育海外研修日本との比較に見るネパールの環境意識発展途上国が抱える問題に聞き入る学生経済発展が進むネパールの首都カトマンズ信大NOW88号より(発行:2014年7月31日) 12

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