信州大学案内2014-2015
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人文学部長 吉田 正明よしだ  まさあき人文学科学部長からのメッセージ 今日の世界は激しく変容し、国際化が大きく進展し、グローバル化の波が社会の隅々にまで否応なく迫りくる、先の見通しの立たない混迷の時代です。人間は科学技術の発展に支えられて豊かな生活を謳歌できるものと盲信してきましたが、絶えない紛争や環境破壊や原子力発電所の事故等で、その幻想は脆くも打ち砕かれ、これまでの経済優先の価値観を転換していくべき時を迎えています。 中世ヨーロッパに誕生した大学は、いずれも人文学(Liberal Arts)を教育の根幹に置いてきました。当時の聖職者や学術分野の共通語であったラテン語文法の理解、文の構成法や表現法を磨く修辞学、論理的思考を涵養する論理学等の基礎固めをしっかりと行った上で、神学や法学や医学などの専門課程の教育に進んだわけです。それ以来人文学は、人間とは何かといった根源的な問いかけに対して様々な角度からアプローチしてきた、大学教育における根幹であり最も古い本来的な学問であると申せましょう。先の見通せない混迷の時代であるからこそ、人間の本源について長きにわたって英知を蓄積し継承してきた人文学を今こそ深く学ぶ意義があるように思われます。16人文学部Faculty of Arts人文学部Faculty of Arts自明とされる事柄に対し、深くその根拠を問い直し新たな認識を構築できる思索力変容する社会を冷静に分析し、時流に迎合することなく価値判断できる批判力過去の英知の批判的継承のうえに立って創造的な未来を切り拓く開拓力異質・多様なものを理解し、寛容かつ多元的に判断することができる受容力・・・・心と思考の実践知情報を適切に集約・分析・表現できる高度なメディアリテラシー他者の考えを明晰に理解し、自己の主張を的確に表現できる高度なコミュニケーションリテラシーグローバル社会において、多様な文化を理解し、自らの文化を発信できる外国語能力領域横断的な事柄に対する問題解決能力および独創的な企画構想能力・・・・技と行動の実践知求める学生像 人文学部は、教育目標「実践知」を習得するために必要な素養を備えた、次のような人たちを積極的に受け入れます。・ 人間、社会、歴史、文化、言語、文学、情報、芸術などに興味や関心を抱く人・ それらを探究し表現することに喜びを感じる人教 育目 標 人文学部では「実践知」を、その教育目標に掲げています。「実践知」とは、知を運用する力、機動する知であり、現実の社会に働きかける、のびやかで生き生きとした知の力を指します。 具体的には、以下のさまざまな力などをまとめ、一言で表した言葉が「実践知」です。 信州の大自然の織りなす四季のもと、都会の喧噪とほどよく距離をたもちつつ、時代や人間を見る確かな目と、他者や自然と共生できる豊かな感性をはぐくむ教育を行います。複雑多様化し混迷する現代社会のあらゆる局面で、不断に根源的な思索を試み、それらに批判的・創造的にかかわっていくことのできる「実践知」を身につけた、新しい時代の人文人(ネオ・フマニスト)を育成します。 理 念Topics 人文学部は平成25年度より、これまでの2学科(人間情報学科・文化コミュニケーション学科)を改め、1学科(人文学科)に移行し、カリキュラムを一新しました。 新しいカリキュラムのもとでは、あらゆる分野の授業を横断的に履修することが可能になります。開拓力・批判力・企画構想力を養うクリエーション系、受容力・思索力・問題解決力を養うソリューション系、コミュニケーション能力・外国語能力・メディアリテラシー能力を養うコミュニケーション系という三つの系統立った受容の履修により、これまで以上に、幅広くバランスのとれた学修が促進されています。人文学部の改組について入学についてのお問い合わせ人文学部学務係・入試事務室・大学院 ☎

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