2015工学部研究紹介|信州大学
68/76

環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像環境機能⼯学科研究から広がる未来卒業後の未来像水溶液を利用した成膜装置(左)と作製した酸化亜鉛透明導電膜(右)。膜構造はロッドから膜まで簡単に制御でき、肉眼でも変化がわかる研究室での風景。テーマに関わらず、学生間でも積極的に議論・相談をしながら研究を進めている我⽥研究室水溶液プロセスでは、高温や高真空などの特殊な環境を必要としません。そのため、不純物として水酸基や有機物を取り込みやすいという欠点があります。一方、さまざまな複合材料を作製できるという可能を意味しています。この特徴を生かして、透明導電膜などの電子材料や光触媒・吸着材料などの環境浄化材料など、多岐に渡る機能性材料を作製し、地球環境にやさしいものづくりプロセスを確立します!我田研究室では大石研究室・手嶋研究室とともに、次世代エネルギー・環境材料創成に取り組んでいます。特に我田研究室では、水溶液プロセスによる無機材料創成に力を入れています。水溶液プロセスとは、金属塩の水溶液から100℃以下の低温で無機材料を作るとても単純な手法です。実はこのような化学反応は、地球上の生物にとっては普通のことです。人間が作ることのできない複雑な形状の無機物質を作る生物も存在します。自然界のものづくりを学び・応用することで物質の形状や特性を制御したり、無機-有機複合材料を作るなど、さまざまな材料創成に挑戦しています。我田研究室では、環境・水をキーワードに最先端材料創成と環境調和プロセスを学びます。これらのキーワードは、現代のものづくりとは切り離すことができません。そのため、さまざまな分野に挑戦できる学生を育てています。我田元助教2011年3月東京工業大学総合理工学研究科物質電子化学専攻を卒業。その後、学振特別研究員PDとしてコンスタンツ大学(ドイツ)で勤務。2012年4月より現職。地球環境にやさしい「⽔」を活⽤した最先端ものづくりへの挑戦合成したルビー結晶。それぞれの形はその表面張力で説明できるルビーの表面においた水滴。その接触角からルビー結晶の表面張力を算出できる写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm鈴⽊研究室鈴木研究室では、ルビー、水晶などの結晶の表面張力を測定しています。液体の表面張力はよく知られていますが、実は結晶のような固体にも表面張力があります。液体は分子が自由に動くので液体の表面積が小さくなろうとするので表面張力の存在が実感しやすいのですが、結晶の様な固体では表面の分子が動くことなく、表面張力が存在することが実感しにくいと思います。結晶表面に水滴を滴下すると水滴の表面張力と結晶の表面張力が釣り合います。水滴表面と結晶表面との間の接触角を測定することで、結晶の表面張力を算出できます。鈴木研究室では、結晶の表面張力と結晶の形状を比較することで結晶が形成されるときのメカニズムを考察しています。基本的には熱力学的な基礎研究です。応用研究ではないので何らかの製品などにつながるものではありません。基礎的な研究を通して有能な人材を育成します。応用面に直結する研究をしていないからといって役に立つ人間になれないという心配は無用です。基礎を深く学習していれば、どの分野にいっても役に立つ研究ができるはずです。鈴木孝臣准教授東京大学理学部卒、千葉大学助教授を経て2001年より現職。研究分野は固体表面の熱力学。結晶の表⾯張⼒の実測と結晶表⾯の熱⼒学66

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です