2015工学部研究紹介|信州大学
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組成分析の結果赤い部分には主にCuが析出しており、緑の部分にはCuとInが共析している写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm電位パルス電解法により作成したCu/In積層薄膜断面の走査型電子顕微鏡写真写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm物質⼯学科篠原研究室研究から広がる未来卒業後の未来像着色した廃液から着色成分除去を目的として行った膜分離実験の装置図と実験結果。膜ろ過により着色廃液からほぼ透明な液体を回収中空状高分子膜の断面写真。膜の厚さや大きさを変化させた中空糸膜が作製できる物質⼯学科清野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像篠原研究室では、めっき法を活用して付加価値の高い合金薄膜を低コストで作製することを目指して研究を進めています。合金化することで単一金属では認められない有用な特性(低融点、耐腐食性、高硬度など)を持つ金属薄膜を作ることが出来ます。また、合金めっきでは通常多くの添加剤を使って2種以上の金属の析出電位を近づけることにより合金として析出させますが、同研究室では作製しためっき皮膜の特性を劣化させる可能性を持つ有機添加剤を使わずに合金めっき皮膜を作製する方法として、電位パルス電解法を使った合金めっき技術の開発などを行っています。小さな部品を製造する場合には、材料のかたまりを切ったり、削ったりして作ると考えがちですが、切る・削る技術で1mmの1/100以下の部品を大量に作成するのはとても困難です。そこで、篠原研究室では発想を変えて、めっき技術を応用して原子を積み上げることにより、ごく微細な部品を作りたいと考えています。現在は、その材料となる好ましい特性を持った様々な合金めっきの基礎的な研究を行っています。めっき技術は、以前は装飾または防錆分野での活用が主でしたが、現在は微細電子部品等の製造分野でも活用されており、卒業生は電子部品や精密機械メーカー等に就職しています。篠原直行准教授信州大学大学院工学系研究科を修了後、めっき被膜の層構造に及ぼす有機物の影響等について研究を続けてきている。現在は合金めっき技術の応用研究を行っている。清野研究室では、高分子材料の一つである高分子膜に関する研究を行っています。多様な高分子膜を作製し、それらを利用した様々な膜プロセスに取り組んでいます。例えば、有用な成分を含んだ混合液があったとすると、有用な成分だけを取り出すことができれば、その成分を再利用することができます。また、取りだした成分が、環境に悪影響を与える物質であれば、環境保全にもつながります。同研究室では、有機溶媒を含む廃液からの有機溶媒のみの回収や、排液中に含まれる有用成分の回収などの膜プロセスに関する研究を行っています。各種膜センサーの開発にも取り組んでいます。環境保全の重要性は言うまでもなく、資源の少ない日本においては、いかに資源を有効に活用するかが大きな課題です。膜分離プロセスは、これらの課題を解決できる手段の一つです。清野研究室で取り組んでいる様々な膜プロセスを複合的に組み合わせることにより、様々な物質を感知し、必要な物質を分離し、それを回収し、再利用システムの構築が可能となります。学部卒業生のうち、多くが修士課程に進学し、研究活動や勉学を継続しています。その後は、研究内容を生かして膜分離の事業を行う企業や高分子材料関係の企業に就職する学生が多数です。清野竜太郎准教授信州大学助手、助教授を経て、2007年より現職。専門は、高分子化学、高分子材料。特に、高分子膜の合成、高分子膜輸送現象の解析、高分子膜分離プロセス。めっき法を活⽤して低コストで微細な部品を⼤量に作製する必要なものだけをいかに分離するか“膜”の可能性を探る44

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