2015工学部研究紹介|信州大学
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三島研で合成した中空微粒の電子顕微鏡写真(右上の写真は破砕粒子の内部写真)実験室の風景物質⼯学科三島研究室研究から広がる未来卒業後の未来像種々の溶媒や試薬、ガラス器具を使ってドラフト内で反応や蒸留などの実験操作を行い、有機化合物を合成する有機分子が分子触媒(黄色)と配位結合をし、活性化される核磁気共鳴装置を用いて、有機化合物の3次元構造を決定する物質⼯学科菅研究室研究から広がる未来卒業後の未来像三島研究室では岡田助教と共同で大気や水を汚染する物質を効率よく集めて分解するための高性能触媒システムの開発と大量に排出される使用済みプラスチックの無害化・有用化技術の開発を主要研究分野としています。触媒関係では、世界的にも殆ど例のない「シリカ系ナノ薄膜微粒子」を独自の方法で合成し、高性能触媒への応用に取り組んでいます。リサイクル関係では「廃棄ポリ塩化ビニル(PVC)等の無害化と有用物への変換」のための独自の技術を開発し、実用化に取り組んでいます。これらの研究は企業も注目しおり、実用化のための共同研究が進んでいます。環境汚染のないクリーンな地球を後世に残すこと、これが現代に課せられた大きな課題です。そのためには、汚染物質の排出を抑制すること、排出された有害物質を除去すること、そして廃棄物をリサイクルすることが不可欠です。このための技術の土台となるのは化学です。当研究室は、きれいな水ときれいな空気にあふれるクリーンな地球を守り後世に残すための新しい化学技術の開発に挑戦しています。三島研究室の研究には幅広い化学知識と研究技術が必要なため、広い化学的知識と電子顕微鏡等の各種大型実験装置を駆使することが特徴です。化学のみならず電気、機械系企業などでも活躍できる総合力のある人材が育成されます。三島彰司教授信州大学を卒業(1974.3)後同修士課程を修了。信州大学工学部助手、助教授を経て2004年より現職。工学博士(信州大学)。研究分野は触媒化学、吸着の化学、酸・塩基化学、環境科学。菅研究室では、薬理活性な光学活性ヘテロ環化合物の合成に関する研究を行っています。有機分子には、不斉中心があり、鏡像関係にある右手系と左手系の化合物が存在します。このような分子は、医薬品にも用いられていますが、右手系が薬であるのに対して、左手系は毒として作用することが多々あります。有機合成の分野では、このような分子をいかに効率的に作り分けるかが重要な研究課題です。同研究室では、医薬品に多く含まれる酸素や窒素などを含む環状化合物(ヘテロ環)をターゲットとして、一方を作り分ける分子触媒や高選択的反応の開発を行っています。有機合成化学は、医薬品や農薬の合成のみならず、新しい有機材料の合成にも広く用いられており、化学関連産業において重要な役割を担っています。合成反応においては、目的とする化合物だけでなく、複数の生成物が生成する反応があり、ほしいものだけを効率的かつ選択的に得る方法の開発が重要です。これを可能にする新規分子触媒や手法の開発は、化学関連産業の発展に大きく寄与するものと考えられます。化学、製薬および農薬メーカーへ多くの卒業生を輩出しています。有機化学は、分子レベルでものを扱う学問であり、その習得により、低分子や高分子等を問わず幅広い分野で活躍できます。菅博幸教授大阪大学大学院理学研究科助手、ミシガン大学博士研究員、信州大学工学部助手、助教授を経て現職。主な研究分野は、有機合成化学。特に有機合成における新規手法、新規分子触媒の開発。地球にやさしい化学技術への挑戦-⾼性能触媒の開発・プラスチックのリサイクル-有機合成を⽤いて、薬理活性ヘテロ環を作る。新規な分⼦触媒や⾼選択的反応の開発41

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