2015工学部研究紹介|信州大学
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建築学科浅野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像素材丸太から製材過程を経て住宅建設までの木材の流れ木質バイオマスの有効利用東日本大震災後、住宅のエネルギー状況は大きく変化しました。省エネルギー法が改正になり、住宅の断熱性能は今後大きく改善します。同時に木材の積極的利用が促進されています。国産材の需要を高めていくことは伐採時期を迎えた森林の整備に大きく貢献し、生物多様性の原点となる森林の成長を促すことにつながります。循環型社会を成熟させるために建築分野から廃棄物の排出削減とリサイクル材の活用を考えていくことが大切です。建築・住宅の設計から施工まで環境に配慮した手法とその実施が豊かな社会を持続させていくために必要です。その担い手として国民から強い期待が寄せられています。浅野良晴教授1979年東京工業大学大学院博士課程建築学専攻修了。1984年信州大学工学部建築工学科助教授を経て現在建築学科教授。寒冷地住宅の建て方、住宅のエネルギー需要の分析、木材の流通、建設廃棄物のリサイクルの研究を行っている。地球温暖化防止の観点から住宅における二酸化炭素の排出量削減を研究しています。寒冷地の住宅では外気に面する壁、屋根、床や開口部の断熱・気密が重要です。木材は炭素固定の源です。木材の利用促進のため、森林から住宅における木材の流通を調査しています。また住宅の建設時、解体時に発生する廃棄物のリサイクルを研究し、建設資材における資源循環を進めています。こうした調査・研究をもとに、環境負荷の少ない住宅生産の具体的提案を行っています。⽊造住宅の寒冷地対策と国産⽊材の流通に関する調査・研究ヘリコプター(高度1000m)による長野市中心部の熱画像。駅北側に多数ある駐車場は表面温度60℃を越える程高温化している同地区カラー写真。駅前に広がるビル群の周囲に駐車場が多数あることが分かる。樹木や公園が少なく、みどりが少ない地域である⾼⽊研究室研究から広がる未来卒業後の未来像建築学科高木研究室では、環境工学の視点から建築物、まちづくりを研究しています。私たちはほとんどの時間は建物の中で生活をしています。建物の中が健康的であり快適であることは重要です。そして建物の中の空間は建物の外の空間とつながっています。建物の中の環境を良くするために、建物の外の環境を考えることが必要です。同研究室は都市環境に関する研究を行い、ヒートアイランド対策や風の道に関する研究を行っています。また地域のエネルギー問題や環境問題全体を捉えて、まちづくりを考え、その先にある地球環境問題について研究をしています。日本では都市部への人口の集中、都市域の無秩序な拡大の影響で、中山間地の疲弊、都市中心部の衰退が問題となっています。中心市街地を復活し、人々が健康的に生活できるまちをつくるために、計画的なまちづくりが必要です。そしてそこには地球全体までを見据えた環境の視点を欠かすことができません。私たちはこのような将来を見据えた研究を行っていきます。環境問題に精通した卒業生は社会的にニーズが高く、卒業生はそれぞれの分野で活躍をしています。官公庁や大手ゼネコン、設計事務所でまちづくりに関する仕事をしたり、環境に配慮した建築物の設計、建設に関わる仕事をしています。高木直樹教授東京工業大学博士課程修了後、信州大学で30年勤務。建築物の環境性能に関する研究の他に、リモートセンシングや交通環境など幅広いテーマで研究している。ウルトラマラソンやトライアスロンを走るアスリートでもある。地球の未来を考えた建築物、まちづくりを提案する35

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