2015工学部研究紹介|信州大学
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諏訪湖での湖上観測風景役割を手分けし、流速や水質などを観測している長野市内における地形からみた水害危険区域(黄色・赤色部分)今昔の地形図を判読して、地形特性から水害危険区域を抽出する豊⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科世界各地でさまざまな水環境問題や水害が起きています。豊田研究室では、主に長野県内の湖沼・河川を中心として、これらへの対策を「水の動き」の観点から考えています。具体的には、現地観測・コンピューターシミュレーション・地形図の判読などを通して、「水の動き」を計測・予測することにより、諏訪湖における水環境問題解決や長野市内における水害対策策定のための基礎的な現象の解明を行っています。その他、水害に対する住民意識アンケートや環境・防災の両面を考えた今後の川のあり方の検討など行政に近い内容の研究も行っています。人は自然の中に住まわせてもらっています。自然現象を少しずつ解明していき、それらの結果をふまえて自然とどうつきあっていくかを考えることは、土木工学の醍醐味の一つです。自分たちの研究・調査結果に加えて、他の研究者(例えば、生物・地質など)や行政などが出した結果をあわせて総合的にとらえ、よりよい自然とのつきあい方を考えていくことがこれからの時代では必要になってきます。豊田政史助教京都大学大学院修士課程、運輸省港湾技術研究所研究官、信州大学工学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は、湖沼・河川における「水の動き」。国・県・市などで土木事業全般に幅広く携わる「公務員」が最も多く、次いで計画・調査・設計業務を主に行う「建設コンサルタント」、その他ではIT関連企業に就職した学生もいます。⽔環境問題や⽔害を『⽔の動き』の観点から考える3年生の授業での実験(左)、土だけでは亀裂が入って破壊(右上)、稲わらを混ぜると強度が格段に増加(右下)学内より採取した粘土(右上)に数トン以上の荷重をかけて地下数百メートルの地盤を再現した超硬質粘土(右下)河村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科河村研究室では、橋や建物などの構造物を支える地盤を対象とした研究が、主に室内試験に基づいて実施されています。豪雨による土砂災害は、地盤を構成する土が雨水を吸水することによって土中の水分が増加し、土の強度が低下するために発生します。そのような場合を想定して、土の強度低下特性についての研究が行われています。また、土木構造物に用いられるコンクリートや鉄筋と比較して弱い材料である土を補強し、巨大土構造物を築造するための研究も実施されています。さらに、大深度地下における超硬質粘土の強度や変形特性についても検討されています。土の力学特性の解明のような基礎研究だけでなく、地盤の補強のような応用研究も行われています。地盤の補強は急勾配高補強盛土として実用化されている技術に対する研究であり、近年増加している豪雨時における安定性に対する対策が課題です。超硬質粘土の力学特性の解明は、大深度地下都市の開発に繋がります。同研究室では、学生たちがこれらの実験・解析を日々行っています。卒業生の多くは、官公庁などの公務員、建設会社や建設コンサルタントなどの土木技術者として地域や社会に貢献しています。4年生で卒業して就職する学生も多いですが、大学院に進学する学生も少なくありません。河村隆助教九州大学工学部卒、信州大学工学部助手、学内講師を経て、2007年より現職。主な研究分野は、粘土の水分保持特性の評価、ジオグリッドを用いた地盤の補強、骨格構造の卓越した粘土の力学挙動の評価など。巨⼤⼟構造物の築造から⼤深度地下の開発。地盤の補強と超硬質粘⼟の⼒学特性34

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