2015工学部研究紹介|信州大学
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土壌と微生物を利用した維持管理の容易な脱窒素処理装置汚染状況や処理装置の性能を確認するため、水質を様々な分析装置で測定する(写真はイオンクロマトグラフ)排水や廃棄物からメタンが回収できるメタン発酵松本研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科松本研究室では、都市に住む人々の生活環境や健康をまもるため、微生物を利用した排水や廃棄物の処理技術の開発がおこなわれています。たとえばメタン生成菌と呼ばれる細菌の能力を利用し、生ごみや生活排水に含まれる汚れ成分(有機物)をメタンに変換し、環境浄化と同時にエネルギー資源を取り出す研究が進められています。このような細菌の持つ様々な能力を利用した維持管理が容易で使いやすい環境浄化の「適正技術」が、自然の浄化作用や古くから用いられてきた伝統的な排水・廃棄物処理技術を参考に探求されています。構造が簡単で、維持管理が容易な処理システムは、処理性能はやや劣りますが、導入しやすく、運転に必要なエネルギーが少ないなどの特徴を持っています。このようなシステムを既存の中小規模の排水処理施設と組み合わせることで処理機能が強化されたり資源の回収が可能になります。さらに地理的特性から施設の十分な管理が難しい山小屋のトイレや運転管理技術者が少ない開発途上国での利用も期待できます。近年は卒業後、国や地方自治体の公務員になるケースが増えていますが、プラント建設会社や環境装置メーカーに就職する卒業生もおり、同研究室の特徴となっています。松本明人准教授三機工業株式会社を経て、1993年より信州大学。研究分野は衛生工学および水環境工学で、最近は水環境の評価を通じた環境教育ツールの検討もおこなっている。微⽣物を利⽤してまちをきれいにする環境浄化の『適正技術』を求めてCFRP/GFRPハイブリッドI型梁の変形とz方向の直応力分布図サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmSiC補強5456Al弾塑性複合材料の巨視的応力ひずみ関係の予測及び実験値との比較サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm⼩⼭研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科土木材料としては、鋼材・コンクリート・地盤材料等が主として用いられていますが、最近ではFRP(繊維補強プラスティック)やFRC(繊維補強コンクリート)といった新しい材料も使われるようになっています。例えばFPRに着目すると、自動車産業等では大きな地位を占めていますが、土木分野においてはFRPのみで作られた橋が日本には一橋しかないように、巨大構造物に使用したときの性質については、解明されていない点や改善すべき点が幾つかあります。小山研究室では、このような材料や構造物の力学的な挙動を予測するための数値シミュレーションを行っています。上で挙げたような材料には、耐震上有利な軽量性、比較的厳しい環境での建設に有利な耐腐食性、デザイン上有利な流動性といった特徴があり、従来に比べ自由度の高い土木構造物の設計が期待できます。また、このような材料の製造による環境へ負荷は高いと言われており、前もって材料の性質をある程度の精度で予測できるツールがあれば、材料の設計という観点からも望ましいものとなります。同研究室が正式に発足してから5年目のため、卒業生をそれ程多く輩出してはいませんが、その大半が土木系公務員に、他に総合建設業やライフライン系の企業へ就職しています。小山茂准教授東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了後、同大学助手、信州大学工学部助手・助教を経て、2009年より現職、専門は計算力学、材料力学。建設マネジメントに関するシミュレーションにも興味がある。⼟⽊⼯学における新しい材料を解析する32

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