2015工学部研究紹介|信州大学
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従来のSSD(左下図)。新デバイス・メモリとそのための新統合制御チップを三次元集積で1パッケージ化したSSD(右図)宮地研究室メンバー。デバイス・回路・システムと広い見識を持ち、自分で困難を突破できる人材になれるよう実践を通して指導する宮地研究室研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科ホットワイヤーCVD法での炭化ケイ素薄膜の作製実験の様子。1500度以上に加熱されたフィラメントで原料ガスを分解する半導体薄膜の構造をXPS装置により解析する。薄膜の表面にX線をあて、飛び出した電子の状態から構造を知ることができる阿部研究室研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科半導体集積回路は非常に汎用的な電子部品なので、その設計技術や知識を習得することは、電機・電子部品メーカーへの就職に限らず大いに役立ちます。近年電子化が著しい自動車、鉄道、医療機器メーカーで集積回路設計者を募集する例もあります。宮地幸祐助教東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、東京大学、中央大学の特任助教を経て2013年度より現職。研究分野は半導体集積回路システム、設計、デバイス。半導体産業を40年にわたって支え続けてきたトランジスタの微細化が物理限界を迎えつつあるとされる中、集積回路設計技術の研究は新しいフェーズに入りました。宮地研究室は2013年度に新しく発足した集積回路設計の研究室です。微細メモリデバイスの信頼性を回路やシステム技術で補完したり、新原理を用いたデバイスとその制御回路を三次元集積したりすることで、より小型で高機能な新しい集積回路システムを企業、大学との共同研究を通して切り拓いていきます。一例として、ハードディスクドライブ(HDD)に替わる次世代ディスクドライブであるソリッドステートドライブ(SSD)の超小型化が可能になります。SSDに使われている微細NANDフラッシュメモリの単電子効果に起因するエラーを抑制するシステムや、NANDフラッシュメモリと新原理デバイスの三次元集積化により、一つのチップパッケージで現在のHDDと同等の容量とHDDの数倍の速度を有するSSDの実現が期待されます。阿部研究室では、現在のエレクトロニクス社会を支えている半導体に注目して研究を行なっています。コンピューター、携帯電話、太陽電池など、半導体は私たちの身の回りの様々なところで使われています。地球上に大量にあり、さらに環境にも易しい元素で構成された、SiC(炭化ケイ素)や銅化合物系酸化物半導体などの新しい材料を、高純度のガスを原料として用いるCVD法、高純度の金属板を原料とするスパッタ法などの方法によって、高性能な半導体薄膜として合成することを目指しています。半導体はコンピューターや携帯電話などに使われる集積回路の材料としてよく知られていますが、それ以外にもLEDや太陽電池、各種センサーなど、私たちの身の回りの電気製品には必ずといってよいほど使われています。省エネやエコの分野でも半導体は欠かせません。これまで主に使われていた半導体材料のシリコンよりも高性能な材料を開発することで、電気製品の消費電力を大幅に少なくしたり、これまで無駄なに捨てられていたエネルギーを回収したりすることが可能になります。卒業生は、半導体メーカーはもちろん、家電メーカー、自動車業界など様々な企業で活躍しています。少し変わったところではガラスメーカーに就職し、研究室で学んだ薄膜作製技術を生かして、機能性ガラスを開発する仕事を行なっている卒業生もいます。阿部克也准教授東京工業大学での研究員、助手を経て、2003年に信州大工学部に移る。2007年から現職。研究分野は半導体材料の開発。現在、電気磁気学や電子回路の講義を担当。半導体集積回路システムの新しい形を⽬指してエレクトロニクスの未来を⽀える次世代薄膜半導体材料の開発21

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