2015工学部研究紹介|信州大学
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卒業後の未来像研究から広がる未来浅岡研究室エネルギーを有効に活⽤することでエネルギー問題の解決を⽬指す浅岡研究室では、熱やエネルギーといった目に見えない現象を扱うため、仮説と実証により問題を解決するスキルが磨かれます。また、実験装置の設計や製作を自分たちで行うため、何でも自分で作れるという自信が身につきます。卒業後は、これらの経験を活かして、周りをリードする独創的なエンジニアとして活躍してくれると信じています。浅岡龍徳准教授東京工業大学大学院博士課程を修了後、青山学院大学助手、同大学助教を経て、2013年より現職。伝熱工学、冷凍に関係した研究に従事。卒業研究の風景吸収式冷凍機により、廃熱のエネルギーを冷凍用途として有効利用する研究。図のように、減圧により水は蒸発し、その作用で冷却されて凍結します。吸収式冷凍機の再生器に廃熱を供給し続けることで、冷凍用途に利用可能な氷を連続的に作ることができます。機械システム⼯学科化石燃料の枯渇や原子力の安全性への不安からエネルギー不足に対する危機意識が高まっています。浅岡研究室では、エネルギーを無駄なく有効に活用するための技術に関する研究を行っています。例えば、吸収式冷凍機を使うことで、今まで利用されることが少なかった80~200℃の廃熱を、冷凍や冷房に利用可能な(価値の高い)熱エネルギーとして生まれ変わらせることができます。また、冷凍冷房機器に蓄熱システムを組み込むことで、機器の運転条件を最適化し消費電力を抑えることが可能になります。さらに、蓄熱システムが普及し電力を効率的に使用できるようになると、社会全体で発電設備を減らすことができます。今後、クリーンなエネルギーに依存した社会をつくっていくためには,これらの技術は不可欠です.自然と調和しつつエネルギー不足を回避するためには、新エネルギーを開発するだけでなく、エネルギーの使用量を減らすことが不可欠です。吸収式冷凍機、蓄熱システム、ヒートポンプなど、エネルギーの有効活用の研究は、人々の未来の暮らしを豊かにします。池⽥研究室(上)RCカーを改造した実験車両(下)タイヤ力推定手法の検証結果。(図は前輪のタイヤ力)シミュレーションと大体一致しており、推定手法の有効性が示された写真サイズ高さ9.8cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科自動車の操舵やアクセル/ブレーキを積極的に制御することで安全性・操縦性が向上し、より快適な運転が実現できます。また、人工衛星は衛星通信・放送など私たちの生活の身近にある技術を担っています。そのため、人工衛星を高性能に制御することにより通信容量が増加するなど、私たちの生活がより豊かになると考えられます。機械システムを安全かつ正確に動作させるには自動制御技術が必要であり、「装置を動かす方法」を考えるのが制御工学です。池田研究室では、自動車や人工衛星のような移動体を応用例とし、機械システムをより安全に、かつ高い性能で動作させるための制御方法の開発を行っています。最近では、自動車の安全性・操縦性の向上のために操舵を積極的に制御するアクティブ操舵やタイヤ力の推定、人工衛星では将来の宇宙開発で必要とされている故障衛星の捕捉や複数の小型衛星を用いて磁場などの観測を行うミッションのための制御方法の開発を行っています。卒業生は機器メーカーに就職していますが、制御工学では機械工学はもちろんのこと、電気工学やプログラミングなど様々な知識が要求されることから、様々な分野で活躍できると考えられます。池田裕一助教電気通信大学博士後期課程修了後、釧路工業高等専門学校機械工学科助教を経て、2009年より現職。主な研究分野は機械システムの制御理論の構築、自動車や人工衛星などの移動体の制御。安全かつ⾼い性能で機械システムを動かすための制御⽅法の構築を⽬指す!14

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