2015工学部研究紹介|信州大学
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微細センサーを使って「乱流の撹乱構造」をとらえる三次元的で複雑な構造が絶え間なく変化する乱流。松原研究室では微細センサーでその乱流中の撹乱構造の解明に取り組んでいます。白金細線やMEMSマイクを利用した時空間分解能の高いセンサーアレイを開発し、それらによる同時高速測定で、壁面近くの乱流にあるヘアピン渦などの撹乱構造をとらえています。また、乱流の「発生学」と言われる「層流乱流遷移」について、フレーク粒子と高出力レーザーによる流れの可視化を中心に研究しています。古くて今だ新しい乱流研究。20世紀が残した最大の研究課題の一つとも言われています。近年はスーパーコンピューターや数100mの大型風洞装置を用いて熱心な研究が国際的に進められています。その中で松原研究室では実験的なアプローチを中心に乱流の本質に迫るため、現在建設中のイタリアの巨大パイプ流施設による国際共同研究CICLoPEへの参加を進めています。MEMSマイクにつながている壁面孔列。壁面孔の直径は0.6mm。孔の左には直径2.5μm白金センサーを持つ熱線センサーサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm流体実験では流体測定装置に以外にも光学装置や音響装置など様々な機器を使い、それらを統括的に制御して実験しています。これらの測定システムの構築や実験の経験を基に流体機器の新製品開発などで活躍しています。松原雅春教授王立工科大学(ストックホルム)および東北大学を経て、2007年より現職。流体力学とくに乱流に関する研究に従事。乱流と層流が混在する流れ。7mm離れた二枚のガラス板間に水が流れている。流れの可視化にはフレーク粒子を使用サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm松原研究室研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科ミクロな世界の流れを『コンピュータシミュレーション』によって解明!吉野研究室毎年数台の計算機を作成し、負荷が高い計算にも対応している。学生主導で、部品選定からOSのインストールまで行うサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm計算結果の例。多孔質内の浸透現象の解析(左上図)、スロート部を通過する赤血球の変形の様子(左下図),脳動脈瘤モデルの血流解析(右図)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm研究から広がる未来機械システム⼯学科卒業後の未来像吉野研究室では、シミュレーションに用いるソフトウエアを学生が自作で構築しています。一方企業では、時間的な制約から市販の汎用コード(既製品)を使うのが一般的ですが、特にマイクロフルイディクスなどの分野においては、実現象を正確に模擬していないといった問題点がよく聞かれます。そのため将来的には、得られた研究成果を集大成し、企業の方々にも満足のいく汎用ソフトウエアを開発・製作することを目標としています。自動車関連産業への就職が多く、家電メーカや重工、精密機器を扱う企業などにも卒業生を輩出。自分の専門分野にとどまらず、新しい領域の課題解決に意欲的な研究者・技術者として様々な分野で活躍しています。吉野正人教授京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。2000年信州大学工学部助手に着任。2012年より現職。格子ボルツマン法を中心とした計算熱流体力学、移動現象論の教育・研究に従事。吉野研究室では、流体や熱・物質の流れをコンピュータシミュレーションによって解明する研究に取り組んでいます。近年、計算機のめざましい発達のおかげで、これまで調べることが難しかったミクロな世界の流れを精度よく解析することができるようになってきました。特に、『格子ボルツマン法』というパワフルな計算手法を用いて、固体壁面上の微小液滴の挙動や小さな空隙をもつ物体内の熱流動現象など、主に『マイクロフルイディクス』(微小スケールの流体力学)の研究を行っています。さらに最近では、本学医学部と共同して血流などの生体流れの研究も行っています。11

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