2015工学部研究紹介|信州大学
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澤⽥研究室(⼯学基礎教育部⾨)大学院生を中心とした研究開発チーム自動収穫機によって根が均一に切断されたホウレンソウ博士課程小池雅和君による国際会議での研究発表(Santa Clara University, USA)空圧式除振台実験装置核融合プラズマを想定して開発したシミュレーションコードを、澤田研究室のRFプラズマ(右写真)で観測される原子・分子発光線の解析に適用し、計算機コードの信頼性を検証している核融合発電実証を目指した国際熱核融合炉ITERがフランスで建設されている(日本・EU・ロシア・米国・韓国・中国・インドが参加)。設計には、澤田研究室で開発された計算機コードも利用されたhttp://www.iter.org/gallery/com_image_downloadThe ITER Organization provides images and videos on its public website free of charge for educational and institutional use.研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科澤田研究室では、核融合プラズマ中の原子・分子の反応過程の研究を行っています。核融合発電は、高温・高密度のプラズマ中の核融合反応により発電を行うもので、安全であり、さらに燃料である重水素がほぼ無尽蔵にあることから、次世代の発電方法として期待されています。現在、核融合実験炉の容器中心部では、1億度以上のプラズマが生成され、核融合発電が可能となるレベルに達しています。しかし定常運転時の容器壁の熱負荷の克服が大きな課題となっています。就職先は、自動車メーカなど、機械システム工学科の一般的な就職先とほぼ同じです。しかしながら、原子・分子の物理(量子力学)の勉強で得た知識は、材料開発などの仕事に役立つことはもちろん、“世界観”として将来を豊かにすると思います。核融合科学研究所等で、大学院生としてプラズマ研究を続ける人もいます。澤田圭司教授京都大学で博士号を取得後、信州大学工学部に勤務。主な研究分野はプラズマ分光学。容器壁にプラズマが当たると中性化されて、原子や分子となり壁から放出されます。この原子や分子は、振る舞いをよく理解して上手に制御すると、高温・高密度プラズマから容器壁を守る緩衝材になる可能性があります。澤田研究室では、プラズマから放射される光の解析やシミュレーションにより原子や分子の反応等の理解を深める研究を行なっています。核融合科学研究所などとの共同研究もおこなっています。核融合発電の実現へプラズマ中の原⼦・分⼦反応の解明辺⾒研究室ジャークセンサによる軸受損傷診断実験装置。ジャークセンサと独自に開発した信号処理法によって、極低速回転下でも診断が可能圧電セラミックスのフレクソエレクトリック効果の測定実験装置。圧電材料の新しい現象の利用の可能性を探っている研究から広がる未来機械システム⼯学科卒業後の未来像辺見研究室では、電気と機械を融合したメカトロニクスの重要な要素であるセンサやアクチュエータの開発とそれらを応用するための研究をしています。アクチュエータとは物を動かすための装置のことです。例えば加速度の時間微分値であるジャーク(加加速度)を測ることのできる新しいセンサを独自に開発し、その応用に取り組んでいます。さらに超精密位置決め制御装置でよく使用されている圧電アクチュエータの材料特性や様々な条件下での応答を詳細に調査して、高効率で超精密なアクチュエータ開発などに取り組んでいます。メカトロニクス技術は世の中の製品や製造技術の基盤となる技術です。その一つ一つの要素技術の進化と統合技術の発展が融合して人類の科学技術を進歩させていきます。辺見研究室で進めている研究は、工業技術や生産技術への応用につながる速戦的な内容であったり、将来の科学の発展に寄与することが期待される新しい事象の探求など、学問的にも興味深い斬新的な内容です。辺見研究室では、ハードウェアとソフトウェアの両方を取り扱っており、学生はその両方が出来る技術者になって巣立ちます。就職先企業は自動車、電気、精密機械、電力、ソフトウェア開発、公務員など様々です。研究を通じて学んだ物事に対処する能力と、研究室で苦楽をともにした仲間とのつながりは一生の宝となっています。辺見信彦教授東京工業大学総合理工学研究科博士後期課程を修了後、東京理科大学理工学部機械工学科助手、信州大学工学部機械システム工学科講師を経て、1999年より現職。精密機構、精密加工、振動の計測と制御、新しいセンサの開発研究などに従事。超精密機械とメカトロニクス要素技術(センサ、アクチュエータ、機構)10

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