地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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082004年には、国立大学が法人化され民間的な経営の視点が導入され、さらには、産学連携を強化、発展させるため、信州大学産学官連携推進本部が設置された。産学官連携推進本部では、「産業界との連携」、「行政との連携」、「地域住民との連携」「社会人の学び直し」の各連携を、大学が一元的に行うことを目指し、地域社会の期待に応えるべく活動を行ってきた。2008年度からは、信州大学がまとめ役となり県内の19大学・短期大学・高等専門学校が結集して、信州産学官連携機構(Shinshu Innovation System:SIS)を設立し、長野県全体の産学官連携体制の構築を図った。従来の連携分野に「地域ブランド」を加え、ここからモノづくり以外の地域貢献も活発化してきた。2012年頃から文部科学省では、国立大学の役割の見直し、差別化を進めてきており、その中で、これまで以上に地域への貢献を重視することが求められるようになった。信州大学では、これまで個々の教員が行ってきた地域との連携を組織的に行うことで、点から線あるいは面になるような全学的な窓口が必要だと決定し、2年の準備期間を経て2013年10月に地域戦略センターが設立された。2014年4月からは、産学官連携推進本部が発展的に改組する形で、産学官・社会連携推進機構が設置された。これは、これまでも行ってきた地域連携を中心とした大学の社会貢献を信州大学として、さらに推し進めていく決意の表明である。機構の設置に合わせて、機構のセンターの見直しも一部行っている。リサーチアドミニストレーション室、産学官連携コーディネータ、知的財産支援部門をリサーチアドミニストレーションセンター(URAセンター)として統合することで、各業務の連携を強化する体制を構築した。今後は、機構に属する地域戦略センター、地域共同研究センター、サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、イノベーション研究・支援センターの整理統合も視野に、学内のシーズを効率よく社会に還元する、学外からの相談を受け付けやすい、わかりやすい窓口にする、といった改革を実施する予定である。②地域戦略センターについて地域戦略センターのミッションは、地域を活用した教育活動や研究活動の活発化を全学的に進め、地域課題の解決や地域の中に自ら活性化に取り組む人材を育成することにある。そのため「自治体や産業界」とのさらなる連携を重視していく。具体的には、地域課題について単に大学が委託研究や共同研究を引き受けて大学自身が地域課題を解決するのではなく、地域課題の担い手を育成していきたい。そのために、自治体の職員等を受入れ、自らが地域課題の解決能力を身につけながら、課題解決に取り組むスタイルへと発展させ、さらには、その人材に大学教育にも参画してもらい、学生の地域志向教育にもつなげていけるよう支援をしたいと考えている。③COCについて信州大学は、平成25年度の文部科学省 地(知)の拠点整備事業(大学Center of Community:COC事業)に採択された(事業名称:信州を未来へつなぐ、人材育成と課題解決拠点「信州アカデミア」)。信州大学のCOC事業では、まず下記の3つの地域課題に優先的に取り組んでいく。● 中山間地域の食資源等の保全と活用問題● 芸術活動の保存と活用(経済との両立)● 環境と人の営みの両立これらの地域課題については、これまでも大学内の教員等が個別には取り組んできている。その実績・経験を踏まえ、そこで培われた「知」と、また地域の中にある「経験知」とを融合して、新しい「知」を生み出し、課題を解決できる人材を地域に育てていくことを目指す。例えば、中山間地の問題を解決できる人材においては、中山間地の基幹産業となる農業分野について、新たな作物の栽培や6次産業化を目指して、新しい中山間地の価値、あるいは今までにない地域資源を生産から販売まで自立して行える人、指導できる人を育てていく人材育成プログラム等の開発を進める。信州大学地域戦略センターの組織図 地域戦略センターセンター長副センター長専任教員配置(松本)管理事務部門・ 兼任教員(連絡)・調整・ プロジェクト協力教員・ 学生研究員産学官地域連携課選出・各学部・全学教育機構・関連施設長等運営委員会(産学官・社会連携委員会)松本本部長野分室伊那・南箕輪分室上田分室事業推進部門工学部教育学部信州を未来へつなぐ、人材育成と課題解決拠点「信州アカデミア」(信州の地域課題をテーマとした分野横断的な高年次教養教育)・講師の参加・フィールドの提供専門分野教員

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