地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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産学官連携の推進のため、企業が信州大学内の研究情報拠点として使用するレンタルラボや、共用ミーティングルームなどが整備されたARECの建物。上田市の繊維学部キャンパスの中にある。リレー講演会や各種研究会・講演会は毎回ほとんど満員の盛況ぶり。CADシステムの使用方法など実践技術的なテーマから、ファイバー工学や先端素材工学、バイオテクノロジーなど守備範囲はとても広い。繊維学部が所有する先端植物工場を活用した次世代農業=植物工場の多角的検証なども行っている。地域の農業関係者だけでなく、モノづくり企業や流通業の関係者も多く参加し、植物工場の現状と展望について意見を交換している。産学官・地域連携拠点のニューモデルとして高い評価を受ける(浅間リサーチエクステンションセンター)繊維学部内に建つAREC日常的に産学の連携が進む話題の植物工場に焦点を当てて連続セミナーなども開催活発なリレー討論や講演会守備範囲は広い繊維学部のキャンパスには、繊維学関連を中心に工学・農学・医学、さらには人文領域へ及ぶ企業・行政・大学を結ぶ産学官・地域連携の拠点が二つ存在する。ひとつは、繊維学部ファイバーイノベーション・インキュベーター施設(通称Fii)。信州大学が設置し、ファイバー・素材工学を中心に、主にナショナルワイド、あるいはワールドワイドで事業を展開する企業との共同研究・新商品開発を進めている(本誌前号参照)。そしてもう一つが、今回紹介するARECだ。こちらは、上田市をはじめ地域の行政と産業界が協力して、国立大学の中に連携支援施設用の建物を設置した全国でも先駆的な例。運営は、繊維学部の教員経験者や卒業生、関連地元企業などでつくる一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(以前の財団法人上田繊維科学振興会から名称変更)が行っている。併せて、180社超の産学官会員企業組織のARECプラザの運営も行っている。(現在ではAREC・fiiプラザとして、fii運営も行っている)。平成12年、ARECの母体になる上田市地域産学官連携推進協議会が発足。平成14年に施設が竣工し、同協議会はARECプラザへと名称変更された。以来、現在の次世代ファイバー工学への世界的な注目の高まりを予見するかのように、繊維学を中心に信大の全学部と、上田市をはじめ東信地域の企業や行政との連携を進めてきている。前述した旧上田繊維科学振興会自体が、それまでの信大と地域企業との連携の成果であったが、このARECの開設・事業スタートによって、産学官・地域連携は新たな次元に飛躍したと言えよう。ARECは開設以来、上田市役所や上田商工会議所、また長野県テクノ財団浅間テクノポリスなどとも協力しながら、信大を核にした地域企業の連携ネットワークの構築を進め、2014年初頭までに、全県下(一部県外も含む)218社・団体が加盟している。建物内にあるレンタルスペースも17部屋が満杯の盛況ぶりだ。取組みは実にユニークで、日常的に信大の研究者と企業・行政とのマッチングコーディネーターを務める他、加盟企業間の情報交換と相互研鑽を図るリレー講演会は、実に開始以来150回近くに及んでいる。講師数総勢約380名、参加者は延べ5,600人にもなる。この継続的な取組みが上田地域のモノづくり企業の活性化につながっていることは多くの経済人が認めるところだ。その他、会員企業の相互訪問見学会、人事総務ネットワーク会議、医療・介護機器商品化の研究会、生物資源利用・環境関連の研究会、各種技術研修会・セミナーなど盛りだくさんの取組みを進めている。地域中小企業の人材確保・定着支援事業や、農商工連携人材育成事業、地域力連携拠点事業など、多くの経済産業省の補助・受託事業を実施している。このような取り組みへの各界の評価は高く、平成21年には事務局長で繊維学部リンゴの花リンゴの花リンゴの花ARECプラザコーディネーターARECプラザコーディネーターニーズ・シーズ大学・研究室ニーズ・シーズ電気電子部門機械金属部門情報通信部門医療バイオ部門繊維科学部門…民間企業蜂による受粉新製品・新技術マッチングニーズ・シーズリンゴの果実民間企業ARECプラザARECプラザの役割AREC目覚ましい活躍で数多くの賞を受賞AREC自体が地域連携の賜物七70上田市と信州大学信大NOW No.85地域と歩む。

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