地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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先にも触れたように須坂市と信州大学との連携において、伝統的建造物の多い須坂の町並みをキャンパス代わりに使用することをめざした「蔵の町並みキャンパス事業」が果たす役割は大きい。実際、5月23日に開催された平成25年度の同事業の推進協議会でも、信州大学からは大石修治工学部長をはじめ、工学部・教育学部・産学官連携推進本部から合計6人の教員が協議会員として参加し、清泉女学院大学や長野工業高等専門学校等県内外の教育関係者、企業・関係団体・市との産学官連携で、この取組みをさらに発展させる方向性を議論してきている。蔵の町並みキャンパス事業が始まった平成18年以前から、信州大学工学部による須坂市内の歴史的建造物の調査研究、保全、活用の取組みは進められて来たが、現在でも、年間を通じて、工学部建築学科の学生が定期的に須坂市を訪ね、〝生きたキャンパス〟として須坂の町を使わせていただいている。3年次生を対象に行う「民家の再生」「街区の再生」をテーマにした建築設計製図の研修(学生約60人が週1回)、歴史を活かしたまちづくりの調査研究・設計(学生約10人が週2回)、文化財建造物の調産学官民の協働で若者が集う8年目を迎えた「蔵の町並みキャンパス」事業査研究とその利活用計画の提案(学生約10人が週2回)―と、頻繁に須坂の町を訪ね、文化財的建造物である旧上高井郡役所等を拠点にして、熱心に調査研究を進めている。工学部の梅干野(ほやの)成央助教は、「町は生きた教材。教室で得た知識や考え方を実体験し、深めることができます。」と話す。同キャンパス事業では、広く須坂市民を対象にした科学的知見と社会的見識を広げるための講演会・レクチャー企画もさかんに取組まれている。「元気スクール」と名付けられたもので、工学部の遠藤守信特別特任教授が提唱した。ご本人も毎年1月の講演会で、須坂市や社会のイノベーションのあり方などについて基調講演を行うほか、12月には、主に若い層に対して仕事と学問の大切さを伝える「クリスマスレクチャー」でオリエンテーションを行い、産業界や教育界の著名人を招いた連続レクチャーの口火を切っている。歴史的建造物の調査研究、保全、活用有識者を講師に元気スクールよ蔵の町並みキャンパスの様子信州大学 工学部梅干野 成央 助教信州大学 工学部土本 俊和 教授六62須坂市信大NOW No.83地域と歩む。

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