地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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信州の大自然は神仏の信仰を伴って地域の人々によって守られてきた宝ものです。米子の大瀑布はそのシンボルとも言えるものであり、多くの方々の力を結集してこの事業に取り組んでまいりたいと思っております。亀山 章 名誉教授東京農工大学委員長 名勝景観評価担当委員 植生担当委員 地形地質担当委員 地域史担当副委員長 中世史担当1957年度信大教育学部卒業、県下各地小中学校勤務、平成6年高山中学校長を最後に定年退職。地理学専攻し学生時代より、信大に事務局を置いた「長野県地理学会」会員、県下各地の巡検調査に参加。現在吉田隆彦信大名誉教授会長の下に、『地図に見る長野県の100年の歴史』編集に参加。須坂市では、信州大学工学部建築科の蔵の町並みキャンパス事業に「須坂の歴史や風土」についての現地講師や調査案内役を勤めている1968年東京大学農学部農業生物学科卒業。1968年厚生省国立公園局技官。1969年奈良県企画部技師。1972年信州大学農学部助手。1976年同助教授。1982年農学博士(東京大学)。1988年同教授。1992年東京農工大学農学部教授。2009年東京農工大学名誉教授。現公益財団法人日本自然保護協会理事長。専門は造園学、景観生態学、地域計画学、環境緑化工学、森林科学。1974年信州大学人文学部文学科卒業。1977年名古屋大学文学研究科博士課程前期修了。1977年名古屋大学文学部助手。1984年信州大学人文学部助教授。2008年人文学部学部長補佐。2009年10月副学長。1997年千葉大学大学院自然科学研究科(博士課程)修了。1997-2000年横浜国立大学環境科学研究センター研究員。2000-2002年電力中央研究所研究員。2002年より信州大学理学部助教授(現准教授)。専門は植物生態学。1999年信州大学理学部地質科学科卒業。2004年信州大学大学院工学系研究科博士後期課程修了。2004年栃木県立博物館学芸嘱託員。2008年長野市立博物館分館戸隠地質化石博物館専門員。2010年信州大学教育学部助教。2012年信州大学教育学部准教授。 米子大瀑布は、近代米子硫黄鉱山開発の陰に隠れてきたが、霊峰四阿山と瀑布群、奇妙山平などを結ぶ、古代からの聖地であったことを明らかにし、秘境四阿火山カルデラ総体が名勝の地となることを期待する。青木 廣安 氏須坂市文化財審議委員会米子大瀑布は自然に滝があるだけでなく、信仰の対象とされてきたことが重要です。この滝で日本人が自然に対してどのような感情を抱いてきたかを読み解き、名勝としての価値付けをすることで、未来の須坂と日本を作っていきたいと思います。笹本 正治 人文学部教授信州大学副学長須坂市の米子瀑布群の名勝指定には,滝だけでなく,それを取り巻く自然環境や文化財も構成要素として必要になります.これをきっかけに信州・須坂の豊かな自然環境が見直され,大事にされていくことに今回の名勝指定の意味があります.島野 光司 准教授信州大学理学部これまでにも四阿火山の研究はありますが、米子瀑布の成り立ちと関係が深い四阿カルデラの成因については、きちんと議論されていないようですので、今回の学術調査を通して整理できればと考えています。竹下 欣宏 准教授信州大学教育学部地質学(第四紀地質学・火山灰層序学)「米子の瀑布群」学術調査委員会会議のようす名勝の価値と指定範囲を、多角的な視点から捉える。委員会は「名勝候補地として証明したい価値」として、以下の3つを挙げている。①権現滝と不動滝の二条の滝が、四阿山を背景に白い弧を描いて流れ落ちる姿を「ご神体」に見立てたと推測される不動信仰や、修験道の霊場としての性格。②カルデラ地形と溶岩岩壁で作られた見事な景観。特に、柱状・板状節理の岸壁に、雨の日などに束の間現れる幾筋もの滝の壮観さ。③江戸時代の文書「信濃奇勝録」にすでに名所として記載されている歴史性。特に、中世史の担当である笹本正治信大副学長・人文学部教授は、滝の対岸にあたる奇妙山遺跡からの景観が、「米子大瀑布」の歴史性・宗教性を内包した本来の姿であるとして、和歌山県の那智の滝や栃木県の華厳の滝と並ぶ「信仰の対象」「ご神体」として、「名勝」指定を得たいと考えている。今後、植生・山岳信仰・地質などの現地調査と、鉱山・動物・水質などの文献調査を行い、平成26年7月までには報告書をまとめる予定だが、文字通り多角的な視野から、須坂市の新たなシンボルづくりが進められようとしているわけである。委員会の会議には、当然のことながら、須坂市から三木正夫市長、渡辺宣裕教育長も参加、文化庁や長野県教育委員会の文化財関連の職員などもオブザーバーで出席するが、調査・審議の中心は5人の委員となる。この5人が、ことごとく信大関係者になった。このことは、もちろん偶然のことではあろうが、何か、信大と須坂市のつながりの強さを象徴するものでもあるかに見える。委員長で名勝景観評価を担当する亀山章東京農工大学名誉教授は、もともと信大農学部で教鞭を振るわれた方。地域史を担当する須坂市文化財審議委員会の青木廣安氏も信大OB。残りの3人は、中世史担当の笹本正治副学長・人文学部教授、植生担当の島野光司理学部准教授、地形地質担当の竹下欣宏教育学部准教授だ。須坂市、あるいはさらに広く信州のある地点の総合的な学術調査を行う場合に、地域の総合大学としての信州大学が、少なからずお役に立っていることを示していると同時に、信大の地域貢献が、学問領域の壁を超えて、文理融合の形で実現できるようになってきたことを示す、象徴的事態だと言ってもよいであろう。調査委員会委員会メンバーは信州大学中心、且つ文理融合の面々。学術調査委員会メンバー六60須坂市信大NOW No.83地域と歩む。

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