地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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11.5 mAC100V2.2 m1 m今回設置された小水力発電装置は、小赤沢地区を流れる湧水が小赤沢川に落ちる急峻な傾斜地で、その落差を利用して発電を行なっている。場所の選定には、村内8カ所の候補地を事前に調査した。その結果、水が安定的に流れているという条件や、発電した電力を公共性が高い形で活用できるという用途(日常的には公衆トイレの照明など、災害時には非常用電源)の面から、この小赤沢地区に決定した。この地形に最も適合する発電装置として、クロスフロー水車を選択し使用している。水車上流部のガイドベーン開度を調整することで流量の変化にも対応できるのが特徴だ。信州大学では、クロスフロー水車の他にも、一般河川用としてサボニウス水車、落差工など小さな滝を利用する滝用水車、小流量でも比較的落差がある場所に適したジェット水車、浅くて速い流れに適した急流工水車など、様々な小水力発電のユ竣工セレモニーには、今年5月に急逝された同プロジェクト代表(当時)の人文学部村山研一教授のご令嬢・村山智子さんも参加。「父は、栄村が好きでたびたび話を聞かせてくれました。この美しく深い山の中で父が仕事をさせていただいていたのかと思うと感無量です。少しでも、こういう地域のお役に立つことができれば、父も本望だと思います」と感慨深く語った。栄村 島田茂樹村長現地・栄村の島田茂樹村長は、「村山研一教授には、長らくお世話になりました。感謝しています」と追悼の辞を述べた。今回のプロジェクトに対しては、「太陽光と違い、小河川の水は村中にたくさんあり安定して流れているので、ぜひ活かして欲しい」と希望を語った。秋山小学校の全校生徒4名が通電式。小さな手を重ねてスイッチを押すと、未来を燈すかのように3つのライトが点灯し、会場は拍手に包まれた。斜面に設置された水車発電機 (写真提供:妻有新聞社)ニットを既に開発してきている。こうした長年のひたむきな研究の成果があってこそ、はじめて、今回スタートした〝社会実装〟の実証研究が可能となったのである。小水力発電ユニットの研究開発を進めてきた工学部の池田敏彦名誉教授は、「信大では、10数年にわたり、小水力発電の試作品を作ってきた。今回の実証実験を通して、さらに社会に役に立つものへ改善していきたい」と意気込みを語った。いよいよスタートした信州大学RISTEX研究プロジェクト。同プロジェクトの代表である工学部天野良彦教授は「栄村での実験、また、今後始まる安曇野市での調査等を通して、水資源の保全と利活用を総合的にマネジメントするモデル作りを進め、信州型の水利用を世界に発信して行きたい」と抱負を語った。同プロジェクトは、平成24年度、(独)科学技術振興機構社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)の進める「社会技術イノベーション政策のための科学研究プログラム」に採択された。池田敏彦名誉教授が小水力発電(クロスフロー水車)の仕組みを説明。栄村小赤沢小水力発電システム故 村山研一教授蓄積した地形・流形別のユニット開発研究を基礎にしてプロジェクト前代表の故 村山研一教授の思いを胸に452013.11.29 掲載

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