地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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大町市・㈱サークルKサンクス・信州大学の連携企画により平成22年に新発売された黒部ダムカレー。黒部ダム建設当時から大町市で食べられてきたカレーを商品化したもので、発売直後から大評判。2年目の今年は、㈱サークルKサンクスにより、関東・富山・静岡・四国などでも特別販売された。黒部ダムカレー 今年は県外へも展開大町市と信州大学は包括的連携協定に基づいて、共同で小中学校での教育の質的向上の試みも進めている。その一つがコア・サイエンス・ティーチャー養成拠点事業※1)である。これは大町・北安曇地域における、主に地質学関連のデジタル教材づくりを、地域の理科教員の集まりである北安曇理科研究会と協力して取り組む試みである。その中心が、昨年6月から大町山岳博物館の専門員となった前信大副学長の小坂共榮名誉教授だ。現在、小坂教授が制作中のデジタル教材は、「水の働き」「山のでき方」「石の種類」「断層とは何か」などをテーマにする授業の際に、それぞれの小中学校区ごとに野外で見学・体験できる場所を特定したり、学習素材・ノウハウなどを紹介したもの。専門領域の関係で、学校周辺の地学的特徴を把握しづらかったり、また忙しさで、生徒たちを野外へなかなか連れ出しにくいという現場の教員が多いと聞く。少しでも子供たちと野外で体験的な学習をする機会を増やすきっかけづくりにこの教材を利用してもらえれば、というのがこの事業の大きな目標の一つ、とのこと。また、ゆくゆくは、現場の先生たちが自分たちで地域から理数教育の在り方を発信※1)■CST養成拠点事業とは? 子どもの「理科離れ」が指摘されている中で、理数系中核教員=コア・サイエンス・ティーチャー(CST)の育成をめざす。平成22年から文部科学省の理数教育充実施策の一環として、(独)科学技術振興機構が進めるもので、信大は、長野県教育委員会とともに、全国の先進4地域の一つとして取り組みを開始した。 現職教員のスキルアップをめざす「理科の伝道師講座」の開催、学生・教員に共通する「養成プログラム」の制作、実験教材パックやデジタル教材の制作などを内容とし、4年間で県内全域への拡大をめざす。そのうち、特にデジタル教材制作では、地元の松本市や、古くから山岳科学の共同研究を進めてきた実績がある大町市とその周辺の北安曇地域を選んだ。「理科好き」の子どもを増やすコア・サイエンス・ティーチャー(CST)養成プログラムこの教材をより良いものにしてくれることを期待しているとのことである。「大町市の高瀬川の河原には、北アルプス由来のさまざまな岩石が転がっています。それぞれの石には、山のなりたちやその歴史を考えるための手がかりが刻印されています。そういうことを、現場の教員の皆さんが、子どもたちに分かりやすく語ることができるようになれば、子どもの理科への関心は無限に広がっていくはずです」と小坂名誉教授は話す。このことは当然地質学だけでなく、生物学や気象学などの他分野にも応用可能だ。パートナーとして協力する北安曇理科研究会の木下政道教諭(小谷中学校)は「ネットを通じて地元の教材を入手でき、さらにそれに信大の専門的研究に基づく解説がされるわけですから、現場の理科教師はとても助かります。できる限り協力させていただき、充実したものができることを期待しています」と話した。「先生!どうして?」―生徒の元気な質問に答える木下教諭(小谷中学校教諭)学芸員をめざす学生に高瀬川の石について説明する小坂名誉教授(左)192011.09.30 掲載

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