農学部研究紹介2014|信州大学
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果樹園芸学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像本研究室で開発した赤果肉リンゴ品種‘ハニールージュ’(左)と赤果皮、赤果肉の遺伝子の解析による早期選抜技術の開発(右)自分たちで自ら交配し、種を播き、長年かかって育て、研究を進めることで新しい発見や「新しいくだもの」を創造することに繋がるDNAマーカーを⽤いて『新しいくだもの』を効率的に創る!伴野潔教授京都大学農学部助手、鳥取大学農学部助手、助教授、信州大学農学部助教授を経て、2003年より現職。専門分野は果樹園芸学。ナシやリンゴなどの落葉果樹の栽培、ホルモン生理、育種などに関心がある。本研究室では、ナシやリンゴの新品種を効率的に育成するためにDNAマーカーを利用した育種法の開発や研究を行っています。具体的には、リンゴでは横枝が出にくく作業の省力化に繋がるカラムナー形質や赤果肉形質を導入した新品種の育成、ナシでは複数の病害に抵抗性を持つ新品種の育成を行っています。その他にも、組織培養によるナシとリンゴの植物体再生技術と大量増殖法の開発、リンゴとナシの属間雑種を利用した効率的選抜育種法の開発、ナシのわい性台木の開発などについても研究を行っています。これまでの果樹の育種は、何千もの交配した実生の中から、10年以上かけてようやく開花・結実してくる個体を育てながら果実形質の良好な系統を選抜していました。現在では、播種した個体からDNAを抽出し、期待される遺伝子やDNAマーカーを調べることで、果実の形質や日持ち性などもあきらかにすることができるようになりました。また、これまでになかったような『新しいくだもの』を創ることで、新しい産業や健康で持続的な社会を生み出すことに繋がります。赤果肉リンゴを使用した菓子(右)研究室では、フィールドワークとラボワークを通して農学を実践しながら、互いに助け合うことで社会性を身につけます。卒業後は、公務員、JA等農業団体、食品関連企業などいずれも関連の深い職種につき、全国各地で活躍しています。⼟壌⽣物学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像植物微⽣物間相互作⽤から環境保全型農業を探求する齋藤勝晴准教授博士研究員を経て2006年7月より信州大学農学部。植物微生物相互作用の植物栄養学的側面に関心があり、環境保全型農業への応用を目指している。土壌生物学の研究を通して、資料調査・課題抽出・計画立案・課題遂行・報告の一連を習得し、課題に取組む能力を向上させることが出来ます。卒業後は農業生産・指導、食品会社等で活躍出来る人材になります。化学肥料や農薬を使う量を減らし環境への負荷を低減することは現在の農業において重要な課題の一つです。私たちは植物と微生物との共生に注目し、生物の持つ能力を最大限に引き出すことで環境に配慮した生物生産に貢献することを目指しています。研究対象は、植物のリン酸吸収促進に関わる菌根共生(多くの植物種と菌類の共生)や生物窒素固定に関わる根粒共生(マメ科植物と細菌の共生)です。植物はバクテリアやカビなどと共生している菌根根粒最新の手法を駆使して植物微生物共生を研究しているもともと別々に生活していた生物同士が、どのようにして共生を始めたのか?植物は微生物からどうやって養分をもらっているのか?私たちはそれらに答えるために、遺伝子や細胞、フィールドレベルで解析を進めています。このような基礎的な研究から、環境に配慮した生物生産を行うための共生の利用について考えています。⾷料⽣産科学科農学分野⾷料⽣産科学科農学分野88

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