農学部研究紹介2014|信州大学
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佐々木隆教授1982年4月より信州大学農学部。日本とアジアの農業経営の発展プロセス、及び農村開発の比較研究に関心がある。(写真)旱害が発生した畑で調査を行っている(写真一枚or複数枚組み合わせ)調査した地域の水田本研究室では、日本及びアジア諸国の農業経営の発展過程及び農産物流通や消費のあり方を比較研究しています。農業経営については小規模経営に適した運営力に重点を置いた改善方法を探っています。また、アジア諸国の農業や農村、農産物流通システム及び農産物消費やアフリカ諸国の農村などを対象として、それぞれが抱える問題点とそれらを打開する方法を検討してきました。そしてそれらの成果を踏まえて、農業・農村の発展パターン、農産物の流通・消費の地域個性や共通性についての比較研究を進めています。世界の人口の50%は農村に住んでいます。特に開発途上国といわれる国では60%以上の人々が農村に住み、農業を仕事とする人の割合も50%を超えています。日本においても農村に住む人々は20%を占めています。私たちは、農業発展を通して農村に住む人々の生活向上に寄与することを目指していますが、農業と農村がより発展すれば、都市が直面する課題を含め、世界や日本で問題となっている多くのことが解決の方向に向かう可能性があると考えています。私たちの研究活動は地道な現地調査の積み重ねですが、多くの文献を読み、自分でテーマを設定し、調査計画を立て、実態調査を行うというプロセスを経験することで、課題を発見し、解決の糸口を見出すという力を養うことが出来ます。卒業生は多方面で活躍していますが、この経験が役立ったと言っています。農業経営の発展プロセス、農産物の流通と消費の特質を⽐較研究する農業経営学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像作物学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像主にイネ、ダイズ、ソバについて作物の収量と品質の向上のための栽培技術の改良や開発を行う分野である作物学の研究を行っています。品種改良がAKB48の新メンバーだとすれば、栽培技術の研究は秋元康、つまりタレント(品種)のプロデューサーに相当し、タレント(品種)がもつ魅力(能力)を理解し、引き出して人気(収量・品質)を高める、どんなキャラのタレントが売れるのか(どんな特性を持った品種が必要なのか)提案するといった役割を果たします。現在、コシヒカリの有機肥料による栽培、飼料イネの多収栽培、ダイズ栽培における有機肥料の合理的利用法、過湿条件でも発芽良好なダイズ品種の選抜法、ソバの葉温測定による土壌水分管理の最適化などのテーマで研究しています。世界の人口増加に見合う食料増産が必要ですが、持続的生産のためには石油やリン鉱石(リン酸肥料の原料)等の有限資源の使用削減が必須です。また、不良環境での生産向上も必須です。今の時代の人だけでなく、未来の人も食べていけるような農業への変革が求められています。未来のあるべき農業は生態系と生物機能をより巧みに利用した高度な資源循環システムでしょう。このようなシステムに一歩でも近づいていくため、有機肥料、土壌の乾燥や過湿といった栽培条件での土と作物との相互作用に注目して作物生産の向上・安定を目指しています。生産現場を支援する都道府県農業改良普及センター職員やJA職員として活躍できます。また、国家・地方公務員の行政職や技術職の立場で農産業の発展に貢献することもできます。種苗や農業関連資材・機材の生産販売を行う企業、食品メーカーでも卒業生が多く活躍しています。萩原素之教授石川県農業短期大学助手、信州大学農学部助手、同助教授を経て、2003年11月から現職。食料生産の向上・安定のため、低投入条件や不良環境下での作物の生育と収量の改善策を探る。品種(遺伝⼦)だけで勝負は決まらない作物の才能を発揮させるproducer:作物学実験風景:作物の生育状況の調査、根が吸収した窒素の化学分析による定量、光合成測定などを行う電子顕微鏡レベルから生産現場まで大学内での研究だけでなく、現場に出かけることも(農家水田でのイネの収量調査の合間に「農魂」にふれる)過湿条件でのダイズの発芽試験希少なモチ米品種「白毛餅」の栽培実験ダイズ種子の電子顕微鏡観察ソバの葉温の放射温度計による測定⾷料⽣産科学科農学分野⾷料⽣産科学科農学分野77

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