農学部研究紹介2014|信州大学
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昆⾍⽣態学研究室江田慧子助教学部から博士課程まで信州大学生として在籍。博士課程は短縮修了し、山岳科学総合研究所の研究員を経て、2013年より現職。日本学術振興会「育志賞」を信州大学で初めて受賞するなど、多くの賞を受賞している。絶滅危惧種の蝶たち(A:オオルリシジミ、B:ミヤマシジミ、C:チャマダラセセリ)、D:室内飼育を行うマルチインキュベータA:学生在学時に出版したオオルリシジミの絵本と関連グッズB:自然教室の様子、C:育志賞受賞時の賞状、賞牌本研究室では、今まさに絶滅に瀕している蝶たちを守るため、野外でのフィールド調査と室内でのラボラトリー実験を行っています。例えば、オオルリシジミという蝶は日本で長野県と九州の阿蘇にしかいないとても貴重な蝶ですが、保護活動がうまくいかずに絶滅が進行するばかりでした。そこで、研究を行ったところ、人間の生活活動に必要な野焼きがオオルリシジミの天敵を減らしていることが分かりました。また、飼育実験から温度と発育の関係や、代替食草を探索しました。その結果、見事オオルリシジミを復活させることに成功しました!近年はDNA解析技術を導入して、遺伝子攪乱を起こさない放蝶を提案しています。今まさに臨床保全研究の最先端を突き進んでいます。私たちが住む地球は飛行機です。そこに住むたくさんの生物は飛行機を形どっている「ネジ」だとします。生物が1種滅ぶごとにネジが一つずつ外れていきます。一つくらい外れても飛行機は墜落しないでしょう。でも、たくさん外れていったら、いったいどうなるでしょう?地球が墜落しないよう、私たちは日々保全研究に励んでいます。また、行政、大学そして、そこに住む地元の人が一体となり、保全していくネットワークを作り、研究だけではなく、保護活動にも力を入れています。研究活動は、自ら求め、自ら学ぶ精神を育てます。また、保全研究はたくさんの立場や年齢の人と付き合うことが必要になりますので、自然にコミュニケーション能力が向上します。卒業後は大学院、環境アセスメント関連企業、公務員、食品会社など幅広い分野で活躍しています。蝶から⽣物多様性を守る!絶滅危惧種の臨床保全研究ABCDABC研究から広がる未来卒業後の未来像⼭岳科学研究所陸上⽣態系研究部⾨AFCステーション栽培・植栽・飼育お問い合わせアルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)のステーションは、農学部構内から近隣の里地・山岳地まで、多様な自然環境と生産環境の中に位置しています。ステーションの農場・水田・演習林などを舞台に、それぞれの自然環境を生かした持続的な農林生産活動を実践しながら、フィールドにおける実践的な教育・研究活動などが活発に行われています。平成25年度には農場が、平成26年度には演習林が、文部科学省より「教育関係共同利用拠点」として認定され、他大学や研究機関の共同利用を受け入れるようになりました。今後も教育・研究・生産への貢献を通して、更なる発展が予想されます。主な栽培植物:水稲、ベニバナインゲン、トウモロコシ、ジャガイモ、ソバ、キャベツ、リンゴ、ナシなど主な植栽樹種:カラマツ、ヒノキ、アカマツ、スギ、メタセコイア、ドイツトウヒ、ヨーロッパアカマツなど主な飼育動物:黒毛和種、木曽馬、ヒツジ、ヤギ、ミツバチなど〒399-4598長野県上伊那郡南箕輪村8304信州大学農学部総務グループ(附属施設担当)Tel:0265-77-1325Fax:0265-77-1315E-mail:afc_infor@shinshu-u.ac.jpフィールド科学の実践信州の豊かな⾃然を⽣かした教育・研究アルプス登山演習野辺山でのキャベツの収穫実リ農場管理棟では、AFC所属教員と技術職員の定例会議が実施されたり、ハイチランという大きな冷蔵庫で野菜の保管等をしています。ブドウの収穫実習リンゴの収穫と果実の加工品アルプス圏フィールド科学教育研究センターステーション4444

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