農学部研究紹介2014|信州大学
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昆⾍⽣態学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像昆虫生態学研究室では、昆虫の研究を通して、「自然と人との共存戦略」を探っています。豊かな信州の山や里をフィールドに、絶滅危惧種の保護、生物多様性の保全、農林生態系の管理システムなどをテーマに昆虫の生態を研究しています。特に長野県のレッドリスト種の生態学的調査と保全手法、人間活動や地球温暖化による環境の変化を昆虫の指標種を使って評価するための手法の開発、里山の生物多様性と日本の農林業技術との関係などの研究を行っています。アルプス登山などの野外調査と虫が大好きな学生たちが集まっています。人的営力や地球温暖化による環境の変化を、生物を使って評価するための学術的指標を開発する研究は、環境アセスメントや生態系リスクマネージメントにおける重要な基礎研究です。現在は地球温暖化と山岳域のオーバーユーズが、アルプスの貴重な生態系にどのような影響を及ぼしているかについて、上高地や南アルプスの北岳のチョウ類群集を中心に調査しています。絶滅危惧種や生物多様性を保全するための研究は、地球規模で将来にわたって自然環境と人間が共存して持続的な社会を創造するために欠かせないものです。昆虫生態学に関わる卒業論文を作成する過程で論理的思考、科学的実験手法などを学ぶとともに、生物に対する認識を深め、自然環境に対する自らの価値観が創造されます。卒業後は大学院、環境アセスメント関連企業、公務員、食品会社など幅広い分野で活躍しています。中村寛志教授京都市生まれ、京都府立乙訓高等学校、京都大学農学部卒、瀬戸内短期大学を経て、1999年から信州大学教授。昆虫群集による環境評価や山岳域の昆虫群集に関する研究。日本環境動物学会賞受賞。農学博士。⼩さい⾍たちの⽬を通して⾃然と⼈との共存戦略を探る(上高地から蝶ヶ岳までのチョウ類群集の垂直分布をは温暖化による環境変化の評価指標となる。右は長野県天然記念物の高山蝶3種南アルプス北岳で学生たちと高山チョウの調査(肩の小屋の鐘の前で)。右は交尾中の高山チョウのクモマベニヒカゲ(上♂、下♀)動物⽣態学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像泉山茂之教授2006年信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター准教授、2010年より現職、研究分野は哺乳類学、野生動物管理学。(写真一枚or複数枚組み合わせ)過酷な山岳環境に生息する野生動物の長期研究を進めています(写真一枚or複数枚組み合わせ)人間と野生動物とのよりよい関係を目指して努力を続けています中部山岳地域の山岳環境保全を目的として、野生動物の長期生態研究を実施しています。生息条件が厳しい高山・寒冷環境下において、野生動物たちがどのような手立てで生きているのかを明らかにするための研究を行っています。人間と野生動物との、より良い関係を目指して、野生動物の保護管理への取り組みと、農林業被害防除技術の普及を行っています。野生動物による農林業被害の軽減のため、研究成果をもとに、防除技術の普及に取り組んでいます。ニホンザルは、なぜ槍ヶ岳を⽬指すのかー過酷な⼭岳環境を⽣き抜くー公務員、博物館、教員、測量・コンサルタント、JA上伊那、民間(木材)、大学院進学など、大自然と真っ正面から向き合う仕事ばかりです。豊かな自然環境に恵まれた日本アルプスを調査・研究の拠点とし、生息環境が厳しい寒冷・高山環境に生息する野生生物についての長期にわたる基礎的な生態研究と、グローバルな気候変動や自然環境の変化による、陸上生態系の推移の把握と、将来の予測を行う。さらには、中部山岳地域における調査・研究を核としつつ、アジアや地球規模での山岳における調査・研究との比較や、共同研究を進める。アルプス圏フィールド科学教育研究センター⽣態保全部アルプス圏フィールド科学教育研究センター⽣態保全部3839

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