農学部研究紹介2014|信州大学
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⾷品化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像中村宗一郎教授島根大学教授を経て2005年4月信州大学教授、2014年6月から大学院機能性食料開発学専攻教授。機能性成分の単離同定にとどまらず、安全な手法で機能性改善を試み、オリジナリティの高いものとなるように工夫している。カフェ酸に脂肪鎖をエステル結合させたところ、アイスランド型脳症の原因タンパク質であるL68QシスタチンCに対する抗アミロイド効果が著しく上昇した食品化学研究室では、これまでアレルギー改善効果や抗肥満・抗糖尿病・抗高血圧・抗老化作用など生活習慣病予防効果をもつ食素材の開発に取り組んできました。最近では認知症予防抑制効果が期待される機能性食素材の開発にも取り組んでいます。これまでの研究で、多糖修飾によってアレルギー性を低減化したものが経口免疫寛容剤として有効であることを報告しました。現在、山菜・山草やきのこ菌類の中にアレルギー症状を改善する機能を持つものがあることを明らかにしつつあります。アミロイド線維の沈着によって引き起こされる疾病(アミロイドーシス)関係の研究では、私たちはこれまで、どのような天然食素材が認知症予防抑制効果を示すかを明らかにしてきており、現在、これまで積み上げてきた知見をもとに天然中にはないものを分子設計しようとしているところです。本研究室では、「生体調節機能をもったMedicinal Foods (or Ingredients)、NutraceuticalFoods、Functional Foodsの開発・分子設計」に関する研究を行っています。具体的には次のような事柄についてチャレンジ中です。☞肥満・糖尿病・高血圧症などの生活習慣病予防効果をもつ保健機能食料の開発☞認知症予防抑制効果が期待される機能性食料の開発☞アンチエイジングが期待される機能性食料の開発☞花粉症や食物アレルギー改善効果が期待される保健機能食料の開発本研究室では“学生中心主義”と“世界に通用する人材育成”の2つを教育の基本に置き、双方向教育とマルチカルチャー教育を重視した研究室運営を行っています。こうして本研究室では、今後ますます発展することが期待される生命科学の領域で新たな展開を担うべき、創造性豊かで、かつ国際感覚を身につけた人材の育成を目指します。ポストゲノム時代における⾷料保健機能の発掘、発⾒、改良☆食と緑の生命機能の発見と開発☆食と緑からの創薬伊那谷発“健康長寿生命科学”産業の創出遺伝子発現の制御細胞周期の調節免疫制御など生命機能の調節・改変食と緑のシグナル健康長寿長野高冷地野菜山草・山菜緑の香り光・温度・空気機能性⾷料開発学専攻⾷料機能開発学分野⾷資源分⼦機能⼯学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像健康であることは、全人類の望みです。近年、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、食品の果たす役割は極めて大きなものとなっています。本研究室では、「食品免疫学」をキーワードに、食品による免疫調節機能について追求しています。とくに微生物のゲノムDNAが有する免疫機能について、解析を進めています。また、全く新しい機能を有する乳酸菌をデザインし、様々なアプローチから「スーパー乳酸菌」の創製を目指しています。将来的には、科学的根拠に基づく新たな機能性食品・飼料素材の創製を実現させたいと考えています。本研究室では、21世紀予防医学の時代に先駆け、農学分野から、人類の健康維持・増進に寄与する基礎研究を進めています。具体的には、DNAアジュバント(免疫増強剤)グループと乳酸菌ワクチングループに分かれて、学部生から博士課程大学院生までの学生さんが、日々研究に参加しています。今後は、機能性DNAと乳酸菌を絡めた新たな概念を打ち立て、信州発の“食べる”乳酸菌ワクチンの創製を目指します。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、主に食品メーカーや製薬メーカーに卒業生を輩出。先生は「常に最新の研究成果に目を光らし、課題の解決方策を徹底的に考え、議論し、実験により検証するように!」と学生さんたちを指導しているそうです。下里剛士准教授米国食品医薬局、米国国立ガン研究所・博士研究員、信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点・テニュアトラック助教を経て、2012年より現職。研究分野は、動物生命科学・分子生命工学・食品免疫学。“⾷べる”DNAアジュバントの開発と“⾷べる”乳酸菌ワクチンの創製100nm胃液耐性DNAナノカプセルの開発に成功新素材の効果は、動物実験で検証する「動物実験に基づく実証型研究」“食べる”DNAプロジェクト高機能性乳酸菌を…☆探す☆デザインする☆創る乳酸菌ワクチンプロジェクト機能性DNA入り?機能性⾷料開発学専攻⾷料機能開発学分野3637

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