農学部研究紹介2014|信州大学
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応⽤分⼦微⽣物学研究室保坂毅准教授独立行政法人食品総合研究所特別研究員を経て2007年11月より信州大学農学部。研究分野は応用微生物学。有用生理活性物質の生産に関わる微生物の潜在能力を引き出し、それを創薬研究に活かすことを目指しています。微⽣物の潜在能⼒を活性化して有⽤⼆次代謝産物を発掘する多様な微生物の機能(ゲノム機能や化学機能等)への理解を深めながら、有用性の高い化合物を微生物の二次代謝産物から探索し、その構造的特徴や作用機構を解析することは、創薬研究の拡大と発展に大きく貢献すると考えられています本研究室では、微生物由来の二次代謝産物から医薬品を開発するための画期的な技術革新を実現させ、限りある生物資源の高付加価値化と有効利用の促進を目指しています。微生物の二次代謝産物は、人智を越える多彩な化学構造と生理活性を有する化合物の宝庫であり、新薬開発の重要な鍵を握っています。実際に、ストレプトマイシン(抗結核薬)やFK-506(免疫抑制剤)、スタチン(コレステロール低下剤)などの世界を代表するような医薬品の骨格は、放線菌や糸状菌(カビ)といった微生物の二次代謝産物から発見されています。私たちの研究室では、放線菌や糸状菌(カビ)の潜在的な二次代謝能の重要性に着目し、その活性化と利用に向けた技術開発に取り組んでいます。放線菌や糸状菌は、抗生物質をはじめとする多種多様な生理活性物質を生産することで知られており、産業上極めて有用な微生物群である放線菌糸状菌(カビ)微生物実験や分子生物学実験、さらには生化学実験を通して、微生物の機能を細胞および分子レベルで理解できるようになり、食品・医薬品分野における微生物資源の利用促進に向けた最新の知見や技術が身につきます。卒業後に食品・製薬関連分野の企業等で活躍できる人材の育成を目指しています。放線菌や糸状菌の潜在的な二次代謝能を最大限に引き出し活用することは、創薬研究を発展させる上での重要な課題とされている野生型放線菌改造型放線菌青色抗生物質を生産する能力が眠ったままの状態応⽤ゲノム学研究室鈴木俊介助教東京工業大学、東京医科歯科大学、メルボルン大学を経て、2012年より現職。専門は分子生物学、比較ゲノム学等を用いた哺乳類のゲノム機能の進化に関する研究。ヒトゲノムに秘められた⼈類進化の軌跡を読み解く本研究室の興味は、類人猿の共通祖先からヒトへの進化の過程でおきた、どのようなゲノム変化が、ヒトに特有の遺伝子制御をもたらしたのか?そして、その代償(進化のトレードオフ)として、それらが癌などのヒトに多い疾患のリスクの増大にどのように関与しているのか?という点にあります。本研究室では、レトロ因子とよばれる、自身のDNA配列をゲノムのある場所から別の場所へと移動させることのできる“動く遺伝因子”に着目し、ヒトのみで動いたレトロ因子と、ヒトの遺伝子制御の進化および疾患とのつながりを研究しています。本研究室の研究は、人類がサルの仲間からどのように進化してきたかという、誰もが興味を抱く、地球史上非常に重要な問いの答えにつながっています。それと同時に、私たちのゲノムが抱えている、癌などのヒトに多い疾患のリスクを新たに明らかにできる可能性を秘めています。進化的な観点から、なぜヒトがある病気になりやすいのかを理解する、こうした研究の積み重ねは、将来的に、病気の原因や分子機構をより深く理解し、対策につなぐために不可欠です。培養細胞を用いた遺伝子操作実験や遺伝子解析の基本が身につきます。自分自身の頭でアイデアを練り、計画を立てて実行することができる、どこに出ても活躍できる主体的な人材に育ってほしいです。培養細胞をもちいてさまざまな遺伝子操作実験をおこなう研究テーマごとに班に分かれてチームワークで研究をすすめる研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像潜在能力が目覚めて青色抗生物質を生産できるようになった状態応⽤⽣命科学科⽣物⼯学分野応⽤⽣命科学科⽣物⼯学分野3132

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