農学部研究紹介2014|信州大学
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本研究室では、植物を材料として形質転換植物作出法についての研究、ストレス耐性やストレス応答性、さらには、植物と微生物の共生に関する研究を行っています。研究テーマは以下の通りです。(1)植物の形質転換系の確立と有用遺伝子の導入:ミントやアジサイを用いて、効率よい形質転換系の確立を目指しています。また、植物による環境浄化を目的として、金属結合性タンパク質遺伝子の導入を試み、得られた形質転換植物体を用いて、金属蓄積性・金属耐性などの解析を行っています。(2)シソリモネン合成酵素遺伝子の発現解析: DNA•RNAレベルでの解析を行う目的で、シソ由来のリモネン合成酵素遺伝子(PromoterとReporter遺伝子とのハイブリド遺伝子)をシロイヌナズナへ導入し、得られた形質転換体の解析を行っています。(3)共生系における根粒菌のシグナルレセプタータンパク質の機能解析: 根粒菌が植物と共生系を確立する過程では、植物との間で種々なシグナルの交換が行われます。研究室では、この過程で働く根粒菌のシグナルレセプターの機能解析を行っています。形成根粒の窒素固定能解析、シグナルレセプター遺伝子のクローニング、シグナルレセプターの発現解析などを進めています。微⽣物や植物の環境応答系に関してメタロチオネイン遺伝子導入ミントアルファルファ根粒植物による環境リフレッシュや窒素源・窒素循環系の効率よい利用法を確立する可能性を開くことが出来ます。細胞⼯学研究室田渕晃准教授米国ノースウェスタン大学医学部分子生物学科研究員、信州大学医学部助手を経て、平成7年より信州大学農学部。卒業後の未来像研究から広がる未来研究活動を通して習得する問題発見解決力や実践力は社会の種々な局面で活かすことができます。卒業生は食品科学・化粧品産業分野また公務員として活躍しています。根粒中では根粒菌が大気の窒素をアミノ酸に変え植物に供給しています。重金属汚染土壌や湖沼のファイトレメディエーションに利用できる可能性があります。応⽤真菌学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像本研究室では、マツタケをはじめとする菌根性きのこ類の生態解明と、その応用である栽培化に関する研究に取り組んでいます。菌根性きのこ類は培養が難しく、殆どの種では未だ人工栽培化に成功していません。また、生態が不明であったり、未発見の種も多いと考えられています。本研究室では、広く国内・海外を対象に山野を駆け回り、野生きのこ類を収集しています。そして、分類や生態解明といった基礎的研究をベースに有望なきのこ類を見出し、植物との共培養を通じて子実体を形成させる人工栽培化技術を開発することを目指しています。マツタケやトリュフを自在に操り、それらの商業的な人工栽培が可能になると、人々のきのこに対する認識や食文化は大きく変革するはずです。研究室では、これを単なる純粋培養系で達成させるのではなく、自然界の摂理に沿った樹木との共生体として利用していく道筋をつけたいと考え、調査・実験を進めています。また、きのこ類は自然界における物質循環で大きな役割を果たすことから、地球環境に関わるCO2問題、環境放射能問題、資源循環型社会の創出などにも関わりを見出す事が出来ます。きのこという小さな研究対象を通じて、現代と未来の社会を開拓していける人材の育成を理想に掲げています。微生物の探索、培養、遺伝子解析といった実験操作技術が身に付きます。また、森林や山野を安全に調査できる幅広い技術についても学ぶ事ができます。さらに、長野県の代表的な地場産業であるきのこ栽培産業に関わる最新情報を踏まえて、関連産業へ就職する際に役立てる事ができます。山田明義准教授学位取得後、林業研究機関でのポスドクを経て、1999年11月より信州大学農学部。難培養性きのこ類の培養系確立、菌根の構造と機能の関係解明、きのこ類の進化と生態系における役割の解明、人類のきのこ食文化に関心がある。野外調査で収集したマツタケの子実体マツタケ培養株とアカマツ実生との共培養きのこと植物の共⽣現象:菌根性きのこ類の基礎科学と⼈⼯栽培応⽤⽣命科学科⽣物⼯学分野応⽤⽣命科学科⽣物⼯学分野3131

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