農学部研究紹介2014|信州大学
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平松晋也教授高知大学農学部助教授を経て、2005年より現職。研究分野は砂防学で、崩壊や土石流の発生メカニズムや予測手法に関する研究を行っている。霧ケ峰高原で実施した登山道侵食に関する現地観測と散水実験一連の研究成果は、(公社)砂防学会から優秀発表論文賞を授与された。本研究室では、“山岳地域での土砂生産・流出の原因や土砂災害の対策”に関する研究を行っています。崩壊や土石流などによる土砂災害の発生のメカニズムをはじめとして、森林斜面の土層内に分布している樹木の根系や土の中に形成されたパイプの存在が斜面の安定性に及ぼす影響度評価や森林の伐採が土砂生産に及ぼす影響など、森林の土砂災害抑制機能の定量化やその限界を明らかにしようとした研究も行っています。最近では、一度発生すると大規模災害を引き起こすことになる深層崩壊のメカニズム解明に向けた研究を開始しています。基礎学力と応用力を身につけるだけではなく、論文作成を通して文章作成やコミュニケーション能力を身に着けた4年生・大学院生は、主に国や県、建設関連企業の技術者として活躍しています。災害に強い快適な⽣活圏と持続可能な⽣物⽣産基盤の創⽣を⽬指して研究室では、流域内で生産されたり流出する有害な土砂を効率的にコントロールすることにより地域住民の人命や財産を守ることを目的とした研究をしています。最近多発している大雨によって、全国各地で土砂災害が数多く報じられており、本分野は以前にもまして重要になっています。自然の猛威に打ち勝つことはできないかもしれませんが、その力をうまくコントロールすることのできる手法や技術を開発することにより災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生が可能となります。森林の土砂災害抑制機能その限界の定量化に向けた研究の推進(森林は、我々の生活をどれだけサポートしてくれるんだろう?)土層内部での雨水の挙動の観測:根系周辺崩壊によりむき出しになった樹木根系(森林の崩壊抑制効果はどこまで期待できるの?)腐朽根Φ5。0cm採水部の概要活性根森林土壌採取用100ccサンプラー流域保全学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像森林科学科⽥園環境⼯学分野農村環境研究室研究から広がる未来卒業後の未来像本研究室では、さまざまな地表面において、出入りする熱エネルギーの形態を明らかにして、よりよい農村空間を創出するための研究を行っています。地表面を出入りする放射や熱エネルギーは、農地では蒸散や土壌水分消費、橋梁路面では路面凍結、人工芝のピッチやアスファルト面などでは、暑熱環境などを形成します。これらの環境形成要因を明らかにすることで、修復が必要な場合は対応策を技術として確立します。基礎的研究から応用、技術開発まで。これが研究室の目標です。着任以来、トウモロコシ畑を試験地として、熱収支の特徴を検討しています。トウモロコシのような、背(草高)が高く葉の面積(葉面積)が大きい作物は、基準蒸発散の1.2倍程度の蒸発散が確認できます。この形成機構を解明するため、緑被空間面積率(iGSA)を導入した蒸発散のモデリングに取り組んでいます。これが成功すると、水の効率的利用が求められる地域で、水資源を高度に利用した灌漑農業が可能になります。また、高地の紫外線、橋梁路面凍結、農地砂塵、暑熱環境などの様々な現象をとらえ、環境修復やリスク軽減などの学術的、技術的な提案が可能になります。研究室のOB・OGは、幅広い分野で活躍しています。多くは行政技術者(公務員)、土木建設技術者、造園技術者ですが、海外の大学院に進学後、そのまま海外で活躍する林業技術者(インドネシア)や国連職員(オーストリア)もいます。また、大学や高等学校、研究所で教育や研究に従事する者もいます。鈴木純准教授博士(農学)、修習技術者(農業)。長野県技術吏員(農業土木)を経て、1996年信州大学に着任。さまざまな地表面の放射や熱エネルギーの振る舞いについて、気象学や土壌物理学を応用した研究を行っている。さまざまな地表⾯において出⼊りする熱エネルギーの形態を明らかにして、よりよい農村空間を創出します(写真一枚or複数枚組みトウモロコシ畑に各種の気象観測機器を設置して、熱収支の特徴を把握します。現在(2014.07)、温度24か所、風速5高度、太陽放射、赤外線放射、土壌水分など、多くのデータを取得しています。砂塵(左上、右図)は、風の運動エネルギーの地表面における熱変換が小さいときに発生します。運動エネルギーにより細かい土粒が舞い上がるからです。左下図は5年の研究ののちに開発した砂塵抑制資材の20a実大試験施工の様子で、資材は砂塵の発生を抑制しました。森林科学科⽥園環境⼯学分野2121

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