農学部研究紹介2014|信州大学
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治⼭学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像北原曜教授農林水産省森林総合研究所を経て2000年4月より信州大学農学部教授。山地土層内のパイプ流の研究で日本林学会賞受賞。現在は森林の公益的機能の解明に関心がある。ヒノキ林の植栽から間伐、成長に伴う崩壊防止力の時系列変化間伐を行わないと崩壊防止力は低迷する。ヒノキ人工林の崩壊防止力分布マップ立木位置と胸高直径だけから算出できます。治山学研究室では、森林の水源涵養機能や表面侵食・崩壊・落石防止などの山地災害防止機能、津波や高潮などの潮害防止機能、防風防霧防音などの生活環境保全機能などの公益的機能の科学的解明と機能向上のための森林管理法の開発に取り組んでいます。特に、これまで未解明であった森林根系の崩壊防止機能や土石流・津波緩衝機能について、力学的に解明し、それらの機能がさらに発揮できるような森林施業法について開発しています。そのほか、間伐材を利用した木製堰堤の腐朽過程や山火事などの研究も行っています。山地災害を防止するため、私たちは森林根系の崩壊防止機能を力学的に明らかにし、機能の維持増進のための森林管理法を開発することを試みています。現在、森林根系の強度測定と斜面土層中の分布について明らかにし、立木位置と樹種および胸高直径さえ分かれば崩壊防止力分布マップを描くことができるようになりました。この図は、たとえば人家裏山斜面の崩壊危険場所を特定したり、安価で合理的な対策工の工種や配置を決める重要な判断材料となります。このほか、様々な土地利用のある広い流域を対象とした表面侵食量をUSLEを用いて算出する技術の開発も行っています。森林の様々な機能を物理的に数値で示す科学的思考を通じて自然現象の普遍的な法則性の解明手法が身につきます。卒業後は国家や地方公務員、環境コンサルタント会社等で活躍出来る人材になります。森林の⼒で災害を防⽌し⽣活環境を保全するー治⼭学ー森林科学科森林環境科学分野⽊材利⽤学研究室武田孝志教授林野庁勤務を経て1992年4月より信州大学農学部。木材利用に関する分野で特に信州カラマツ材の強度特性など実用的側面を意識した研究に関心がある。(写真)Two-railsheartestにおける薄物構造用合板の座屈(写真一枚or複数枚組み合わせ)パーティクルボードの事故的水がかりを想定した散水実験本研究室では、木材利用学に関わる分野の中で、木材および木質材料、エンジニアード・ウッドの物理的・力学的特性の解明を通じて、様々な視点からアプローチしています。また、従来の木材のマテリアル利用に加えて、エネルギー利用の方向性あるいは環境負荷の影響など、循環型社会形成に向けて役立つ研究を目標としています。信州を代表するカラマツ材の強度特性など地域の課題に積極的に取り組む一方、木造住宅の耐震性に深くかかわる部材強度特性に関する実験も行い、木材利用を支援するための研究を進めています。私たちは木材利用の立場から、木材の持っている優れた特性をたどり、安全安心かつより効率的な利用方法につなげるための基礎的研究を行っています。実用的側面を重視しつつも、理論的解析・詳細な観察に取り組むことにより、木質科学の発展にも貢献することを願っています。木材利用推進は、木材の炭素固定能を通じて地球温暖化防止に貢献することから、学内、学外の研究者ならびに企業との共同研究ならびに地域の要請にこたえるべく研究に励んでいます。木材の強度実験等を通して、木材の力学的特性を理解して、その理論的バックボーンが身につきます。また、自ら企画し試行錯誤を重ねながら研究を進めることによって、力を養うことができます。これまでの卒業生をみると、官公庁および住宅メーカーなど、広範な分野で活躍しています。⽊材利⽤のあり⽅について⼒学的特性から⽅向性を打ち出す研究から広がる未来卒業後の未来像森林科学科森林環境科学分野1616

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