農学部研究紹介2014|信州大学
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発生を始めて間もないニワトリやウズラの胚の中で、将来精子や卵子になる運命をもった細胞、「始原生殖細胞」が増殖しながら赤血球と一緒に血流に乗って循環しながら最終的に生殖器官になるところにたどり着きます。そこで、オスでは精子に、メスでは卵子に分化していきます。そうだ!その血液を他の鳥類の胚に輸血すれば「鳶(とび)が鷹(たか)を産む」かもしれないね。こうやって、絶滅しそうで希少な鳥類を救い貴重で有用な鳥類を増やそう。動物発⽣遺伝学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像小野珠乙教授1985年から信州大学農学部勤務。旧世界ウズラ(ウズラ、ヒメウズラ等)と新世界ウズラ(コリンウズラ等)を用いて生殖細胞の移植と新たな実験動物作出のための育種繁殖に関する研究。手作りの機材豊富。(写真)ウズラ初期胚の血管から始原生殖細胞を含む血液を採血して別のウズラに輸血して、ニワトリの卵殻で培養するニワトリの卵から生まれた生殖細胞キメラのウズラが成熟して、導入されたドナー由来のヒナが生まれる鳶が鷹を産む・・・か?A black hen lays white eggs自己責任が伴いますが自由な雰囲気で、陽気な研究室メンバーであふれています。卒業生はさらに大学院に進んだり、専門にとらわれず、あらゆる方面の社会人としてキャリアを積み上げています。鳥類始原生殖細胞の同種間移植・個体復元はニワトリとウズラで成功しています。このことにより、動物を継代繁殖によらずに、始原生殖細胞の凍結保存⇨・移植⇨・次世代発現により、植物種子の感覚で家禽の種保存・復元ができる道筋が開けました。同一目に属する近縁種への細胞移植による次世代発現が可能となれば、希少種、貴重品種への応用の道が広がります。まさに畜産学がリードすべき重要な課題です。⾷料⽣産科学科動物⽣産学分野動物発⽣遺伝学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像鏡味裕教授帯広畜産大学、名古屋大学農学研究科で動物育種学を専攻し、ゲルフ大学で研究員として研究した。信州大学において動物幹細胞の分化制御による有用動物生産に関する教育研究を推進している。幹細胞は家禽育種の改良に多大な期待が寄せられる(写真一枚or複数枚組み合わせ)動物バイオテクノロジー権威者による国際会議開催幹細胞による新たな有⽤動物創出幹細胞工学を応用した、家畜育種、新規有用動物創出、臓器再生、環境保全等に関する教育研究を行っています。当分野で先端的研究成果を挙げています。幹細胞を動物生産に活用する⾷料⽣産科学科動物⽣産学分野1111

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