農学部研究紹介2014|信州大学
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蔬菜・花卉園芸学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像北村嘉邦助教2010年1月より信州大学農学部。園芸生産の現場に足を運び作物の生理生態の制御一般に適用し得る現象を抽出し、研究テーマとすることが基本方針。未来の園芸生産を背負う新規品目の開発にも注力。(左)開花中のアジサイ(右)開花終了後のアジサイ開花中のアジサイを切り花にすると数日で枯れてしまうが、開花終了後のものを切り花にすると数週間生存する。多くの植物では開花終了後に放棄される花器官を恒久器官として維持する機構が働いている可能性が高い。新たな切り花延命技術の開発につながる現象。長野県オリジナルの変異品種の起源と変異機構、冬期に問題となる花色発現の不安定化の発生機構、次世代の長野特産花卉の立ち上げに向けた園芸植物の生理生態特性の解明の各テーマについて研究を進めています。植物における変異発生制御、環境因子に対する未知の生態反応、花器官に対する維持制御、開花回数の制御等に関して、園芸学のみならず植物科学一般に適応し得る新規な知見が得られます。当然、テーマは園芸生産現場から抽出しているので、研究成果は生産現場にも還元されます。植物を取り扱う職場一般で必要とされる、ラボワークの基本、植物の管理技術が身につきます。また、定期的に行うゼミや研究進捗状況の報告会を通じて、プレゼン能力、コミュニケーション能力を磨きます。植物を扱う各種の職種で活躍出来る人材になりますが、植物を扱う職場は多くはありません。どんな分野でも活躍できるよう、研究室生活の中で皆さん自身が良い方向に変化するサポートができればと思います。園芸学の立場から、生命現象をたどり、優れた園芸作物や管理技術を作り出すための基礎研究を行い、持続的な園芸生産に寄与することを目指しています。研究の過程では園芸生産一般に拡大適用し得る視点を必ず盛り込み、園芸科学一般の発展に貢献することを心がけています。園芸植物に見られる生命現象には様々な生理生態反応が関わっています。その一つ一つを明らかにする過程で、園芸生産現場において役立つ技術を開発してゆきます。(左)一般的に知られるシンテッポウユリ(右)長野県オリジナルの変異品種であるグリーンリリーアルプグリーンリリーアルプのクローンを増殖すると、散発的にシンテッポウユリに復帰する個体が出現する。花器官の形態形成に関与する遺伝子に、可逆的な変異が存在する可能性が高い。園芸植物における変異発生制御を解き明かすヒントが得られる。園芸⽣産の場から植物の⽣命現象を解き明かし、⽣産技術に回帰する⾷料⽣産科学科農学分野1010

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