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中條 哲夫昭和電工株式会社研究開発部管掌 兼 事業開発センター長ごあいさつアクア・イノベーション拠点(COI)の発足にあたり一言ご挨拶を申し上げます。人類が暮らす地球は水の惑星ですが、実は我々が利用できる水(淡水)は地球上の水の約0.01%にすぎません。多量にあるようで実は限られた資源である水を人類の発展のために有効に利用する方法を開発することは、この時代に生きる我々の使命であると言えます。さらに安全な飲用水ですら確保できない人々が世界に大勢いること、水資源が紛争や食料問題等の原因にもなっていることも見逃せない事実です。今回、信州大学を中心に新しい「造水・水循環システム」の革新的な技術開発を進めることは、これらの問題解決に向けた取り組みとして非常に有意義なものと思います。弊社もカーボン材料を中心とした技術開発の一翼を担うべく努力して参りたいと思います。辺見 昌弘サブプロジェクトリーダー東レ株式会社 水処理事業部門・研究本部理事現在、分離膜を使用して年間約200億m3の水が浄化・造水されており、日本の年間水使用量の20%に匹敵します。地球規模で見れば、人口増加、工業化、経済発展から益々水の使用量は増大していくと考えられています。これに伴い、水源は、地下水や河川水・湖沼水から、海水や下水・産業廃水まで拡大しており、良質の水を得ることが難しくなってきています。分離膜を使用した水処理プラントのトラブルの多くは、分離膜の汚れによって運転ができなくなることに起因します。汚れない分離膜を得ることはほぼ不可能であるため、薬品等を用いて洗浄しながら運転することが必要です。即ち、良質の水を低コストで得るための分離膜の課題は、①高い透水性能と分離性能の両立、②薬品や熱への耐久性であり、さらに将来的には、有価物を回収するための選択分離性能です。ナノカーボン技術は、これら課題を達成するための要素技術であり、本拠点で世界をリードする分離膜技術、モジュール技術、システム技術の開発が期待されます。信州大学は、人と地球の“持続可能な明日”を実現するために、教育・研究・社会貢献のさらなる深化を目指しております。本事業では、「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」として、海水や油を含む水など、多様な水源から水を造り出し、それを循環して、あらゆる人々に安全安心な水を十分に提供できる、革新的な「造水・水循環システム」の実用化を目指します。このビジョンに向かって、本学の強みであるナノファイバー工学や材料科学の研究を中心とした全学の英知を結集し、さらに日本が世界に誇る参画研究機関の技術開発力との連携によって、オールジャパンの研究チーム体制を構築します。そして、人と地球の“持続可能な明日”を実現するための独創的研究を推進し、その成果を社会実装することで世界に発信し、世界中の人々にとって魅力的かつ必要とされる研究・社会貢献の拠点を創り上げます。山沢 清人国立大学法人信州大学学長

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