信州大学理工学系研究科
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フラーレンの光化学反応を利用した新しい光電池の開発田端 栞Shiori Tabata2013年度入学/大木研錯体の研究をしています。うまくいかないことに直面することもありますが、その問題に直面したときに、じっくり納得いくまで突き詰めて、自分の力で解決することができたときは非常に嬉しいです。また、製品開発に直結しないけれどもいつか役に立つかもしれないことについて、自分の興味をもとに研究することができるのも理学部の大学院の魅力だと思います。大学院進学を考えている皆さん、ぜひ“理解したい”気持ちを大切に、好奇心がなによりの駆動力だと思います。DEPARTMENTOFMATERIALSCIENCES物質基礎科学専攻(化学)考え、実験する̶自ら解き明かす分子とその集合系の世界本専攻では、分子及びその集合系の構造・性質・機能と、刺激に対する応答性・反応性の基礎的な研究を通して、持続的発展の可能な社会の構築に寄与できる人材の養成を行います。樋上 照男 | 教授分析化学液液界面の光電気化学的方法の研究、フラーレンを用いる光電池の研究大木 寛 | 教授無機固体化学無機化合物の固体状態における構造と物性の関連を調べる研究竹内 あかり | 助教無機化学水溶液プロセスによるリン酸カルシウム系セラミックの合成に関する研究小田 晃規| 教授有機合成化学新規なπ-共役系炭化水素、陽イオン種、複素環化合物の合成と機能性に関する研究太田 哲 | 准教授有機化学・有機機能化学酸化還元応答性分子および有機π電子系の合成と物性の研究庄子 卓 | 助教有機合成化学・構造有機化学新規なπ電子系化合物の合成・反応および物性に関する研究金 継業 | 教授分析化学、超音波化学超音波と分析化学の融合を図り、新しい分離・検出技術および方法論の創出に関する基礎研究巽 広輔 | 准教授電気分析化学、生物電気化学バイオセンサーおよび液液界面電荷移動ボルタンメトリーの基礎研究吉野 和夫 | 教授核化学 同位体化学ガンの中性子捕捉療法用のホウ素0化合物の研究石川 厚 | 准教授無機化学同位体分離および同位体比の地球科学への応用尾関 寿美男 | 教授コロイドおよび界面化学、磁気科学超分子、ゲル、錯体、炭素物質、水の構造と性質や界面現象の磁場制御 飯山 拓 | 准教授微小空間中の分子挙動解明分子数個分の微小空間中の分子挙動を、X線や新規開発の装置で調べている浜崎 亜富 | 助教物理化学コロイド・界面化学;炭素材料;光物理化学;磁気科学;強磁場発生教員紹介セイコーエプソン/理研ビタミン/三菱化学/三菱樹脂/日本製鋼所/アース製薬/富士薬品工業/ちふれ化粧品/東京都立産業技術研究センター/日本化薬/多摩川精機/伊那食品工業/日本エンバイロケミカルズ/電気化学工業/竹本油脂/富士化学/昭和電工ガスプロダクツ/ルビコン/クリオサイエンス/高校・中学校教員(長野県/岐阜県/愛知県/神奈川県/石川県)主な就職先その発見によりノーベル賞に輝いたフラーレン(C60)は、興味深い光化学反応を起こします。私達はこの光化学反応を利用して化学電池型の光電池を開発しました。この光電池は、光(太陽光)のエネルギーを、フラーレンの陰イオンラジカル(C60が一つ余分な電子をもった物質、C.-60)という物質として蓄積するため、従来のシリコンなどを利用した物理電池型の光電池とは異なり、発電機能だけでなく蓄電機能も兼ね備えています。この光電池をより実用的なものにして、光エネルギーの有効利用に役立てて行きたく思っています。ヒドロキシアパタイトによるグリーンケミストリー資源の再利用、合成プロセスの低環境負荷化、地球環境の清浄化など、環境にやさしいものづくりの化学に新規なπ電子系化合物の合成と機能性の解明π電子系化合物は様々な有機機能材料としての応用が期待されています。我々は非ベンゼン系芳香環や複素環を有する新規なπ電子系化合物を設計・合成し、光や電子、イオンに応答して機能を発現する物質(エレクトロクロミック物質、蛍光物質、酸化還元応答性ホストなど)の開発を行っています。X線で微小空間を探る径が1nm(水分子3~4個分)という極めて小さな空間を持つ多孔体は、常温常圧に近い穏やかな条件でもその内部に分子を濃縮する機能をもつことから、エネルギー分子の貯蔵や有害物質の除去に利用され、注SHINSHU UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF SCIENCE AND TECHNOLOGY MASTER’S PROGRAMS013基づいた無機化合物の合成と、その機能性の評価に取り組んでいます。例えば、建築現場で大量に廃棄される石膏ボードは毒性の強い硫化水素ガスを発生しますが、それを原料とし、環境負荷の低い水溶液中での析出反応を利用することで、リン酸カルシウムの一種であり、硫黄を含まないヒドロキシアパタイトを合成することができます。ヒドロキシアパタイトは、福島原発事故以来、問題となっている90Srイオンや、重金属イオンなど、さまざまな環境汚染物質の除去材として使用することができます。さらなる高機能化を図るために、水溶液中でのリン酸カルシウムの合成プロセスについて、基礎的研究を行っています。目を集めています。このような小さな空間に閉じ込められた分子は通常では見られない特異な挙動を示します。我々はX線回折を利用した新しい測定装置、解析法を開発し、このような分子の挙動や配列の直接的な検討を行っています。

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