2013信大USR
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16※本事業は、「イノベーション政策に資する公共財としての水資源保全とエネルギー利用に関する研究」<2012年、(独)科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)>に採択されました。信州ドクターヘリ松本社会のみなさんへ(1) 信州は、利用されていない水が豊富な地域特性を有しており、農業用水をはじめとする小規模水力発電の適地が多く存在します。再生可能エネルギーによる電力供給への貢献はもちろん、小さな発電量を独立型で供給し、地域内でのエネルギー循環(エネルギーの地産地消)にも利用することができます。環境負荷やコストを削減するため、土木工事を極力排除し、流れに置くだけで発電できるナノ水車発電機の普及を目指します。地表水では、地産地消のナノ水車発電 現在主流の空気を利用する空調は、夏は暑い排気がヒートアイランド現象を引き起こし、冬は結露により暖房効率を低下させます。これに対し、地下水を使った空調では、年間を通して水温がほぼ一定のため、これらの問題がいっさい発生しない上、原則、使い終わった地下水を地中へ戻すため環境面への影響はほとんどありません。しかも、消費電力は、空気を利用する空調の約半分に減らすことができます。信州大学では地下に戻した熱を回収することで効率をさらに向上させる次世代型の地下水制御空調システムを開発しており、工学部講義棟では実証試験で開発した装置が活躍しています。 また、信州大学の研究成果を社会還元(実装)するため、産学官共同で地下水・地下熱資源強化活用研究会が設立されました。諏訪市では信州大学の研究者も参加する温泉熱・地下熱専門委員会が設立され、地下熱のみならず温泉熱を活用する諏訪グリーンシティ構想が動き出しています。環境に配慮した地下水制御空調システム 水は電力や熱エネルギーを生み出す資源としての役割が期待されています。しかし、その活用のためには「科学技術」と同時に、地域の合意形成や法制度に対応する「社会技術」が必要です。 そこで信州大学では、理工学系と人文・経済系、産学官連携部門が協力し、「信州型水マネジメントモデル」の研究開発をスタートしました。この研社会実装を前提とした「信州型水マネジメントモデル」の創出長野県栄村秋山郷の湧水を利用した小水力発電システム秋山小学校の皆さんとの通電式の様子地下水制御空調システムのプラント究では、地域と協力して小水力発電を実際に導入・運用したり、地下水熱利用の実践シミュレーションを行いながら地域の自然エネルギーに対するニーズの確認や導入時の水利権課題、農地や森林法などの法制度面の課題を解決していきます。 こうした活動を通じて技術と自然を共存させ、持続する社会をつくる知の体系化を進めていきます。

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