繊維学部_感性工学課程
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住む場所を提供することを第一に、効率化のもと画一的な家が創出され続けてきた日本。しかし、人口減少社会を迎えた現在、家づくりにも新しい取り組みが求められている。長野県に位置する住宅会社フォレストコーポレーションが信州大学繊維学部感性工学課程と共同で研究を進めるのが「共創」による家づくり。住宅会社の設計者・大工など家づくりに携わるすべての方と施主とが直接やりとりして思いを交換・交流して進め建築用材の選木・伐採や塗り壁など施主も積極的に家づくりに参加し、大工とともに家をつくる対話型設計生産方式という新たな仕組みづくりを進めている。そこで、提示されているのは、売る→買うという一方通行の今までのあり方の転換。住宅会社スタッフが施主とともにマイホーム作りを進めることで、施主と住宅会社というよりも、家族の夢を応援する“仲間”のような関係になることを目指している。施主自らが工事を手伝うなど積極的に家づくりに参加することで、家という物体に対する価値ではなく、家づくりのプロセスに価値を感じ、家族全員で家づくりという物語を共有することで家族の絆を深める効果が得られている。単純に利益のことを考えれば、住宅会社にとっては手間の掛かることであるためプラスとはいえないこの取り組み。だが、本当に施主を考え、暮らす人を考えるならば、大切なことであり、今後の社会ではますます求められることだろう。施主が家づくりに参加することにより、快適な生活空間と大切に使い続ける気持ちも生まれる。信州大学繊維学部感性工学課程とともにこれまでとは異なる、新しい家づくり提供への挑戦が進められている。「売る↓買う」を越えた 新しいリレーションが 生み出す競争優位。株式会社フォレストコーポレーション「共創による家づくり」「工房信州の家」 http://www.kobo-shinshu.com次の発展に向けた事例311

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