2013繊維学部研究紹介
59/64

堀江研究室植物基礎科学の知識を応用して、持続可能な社会の構築に貢献する新しい植物を作ろう!堀江研究室では、植物が高塩濃度環境(塩ストレス)から身を守るための仕組みを、分子生物学、分子遺伝学、生理学的実験手法を取り入れながら紐解く研究を行っています。塩ストレスは、世界農業において農産物の収量を著しく減少させている頭の痛い問題です。気候変動に伴う土壌の塩類化が、世界中で近年激しく進んでいます。塩害地での農産物収量増産を可能とするために、耐塩性穀類を作出するための技術開発を目指しています。将来は、植物の繊維質を標的に、クリーンエネルギー供給に貢献できる応用技術開発に取り組みたいと考えています。幸いにも私たちの暮らしは、年々より快適になって、食べ物に苦労する事もありません。しかし、一方で化石燃料の大量消費を基盤とした発展のツケが、今我々人間社会に重くのしかかって来ています。植物基礎科学から得られた知識をうまく利用する技術があれば、近未来に危惧されている、食糧・エネルギー問題を回避するための、重要な一要素となるのではないかと考えています。船出して間がないので、多くの卒業生の例はありませんが、今年は浄水器関連の会社に学生さんの就職が決まりました。私が環境問題を気にする癖があるので、自ずとそういう意識を持って会社や所属先を選択する傾向が今後出てくるかもしれません。堀江智明准教授カルフォルニア大学サンディエゴ校研究員、岡山大学資源植物科学研究所特別契約職員助教等を経て、2010年より現職。研究分野は、植物分子生理学の基礎、及びそれらを基盤とした植物遺伝子・細胞工学。生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像研究標的であるイネを水耕栽培している様子です。温度や湿度を管理しながら、塩ストレスの影響を調査します高濃度のNaClを含む(塩ストレス)水耕液を処理したイネに、Na+を中心とするイオンがどのように蓄積するか、その蓄積量を測定するための作業の一風景です新井研究室タンパク質を科学の目で見て調べて、有用タンパク質のデザイン&応用に挑戦!新井亮一研究室では、タンパク質の構造や機能の理解を深めて、有用な改変・人工タンパク質を設計・開発・応用する研究を行っています。タンパク質を見る:主にⅩ線結晶構造解析法を用いてナノサイズのタンパク質の立体構造を解明しています。タンパク質を調べる:様々な生化学的・分子生物学的手法を駆使して機能解析を行っています。タンパク質を創る:改変・融合・人工タンパク質をデザイン・創製する研究を行っています。タンパク質を応用:有用なタンパク質を開発し、生物資源や環境問題に役立つような応用を目指して研究を行っています。新井研究室では、X線結晶構造解析法、様々な生化学・分子生物学・遺伝子工学的手法を駆使して、天然タンパク質の構造や機能の理解を深め、さらに、有用な改変・融合・人工タンパク質を設計・開発する研究を行っています。持続可能な未来社会へ向けて、バイオテクノロジーへの応用はもちろんのこと、タンパク質をエコフレンドリーな高機能ナノ材料やグリーンケミストリー触媒、高感度バイオセンサーなどの新分野へ応用展開することを目指して、学生自らが主体的に日々研究に取り組んでいます。タンパク質科学は、生物学、化学、工学、医学、薬学、農学、物理学、情報科学と多様な分野にまたがる複合研究領域であるため、卒業後様々な分野での活躍が期待できます。例えば、食品会社や製薬会社、化学会社をはじめ様々な業種への就職が考えられます。実際に、これまでの卒業生は製薬、酵素、化学会社などに就職し多様に活躍しています。新井亮一助教理化学研究所や米国プリンストン大学で研究員を務めた後、2007年12月に信州大学に着任。研究分野はタンパク質の立体構造解析・機能解析を行う「構造生物学」及び、タンパク質の改変やデザインを行い、応用を目指す「タンパク質工学」。研究室での実験風景(左上)微生物で有用タンパク質を生産(右上)宝石の輝きタンパク質結晶(左下)放射光施設でⅩ線回折実験(右下)新規人工タンパク質WA20の二量体4本へリックス構造を解明(上)新規メナキノン生合成酵素MqnDの全体構造(左下)と活性部位(右下)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像WA20MqnD

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です