2013繊維学部研究紹介
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林田研究室グリーンイノベーションで新しい植物を創り出す食べるとアレルギーが治る野菜や、温暖化でも平気なお米や、宇宙船の中でも簡単に育つ果物ができたら、どうでしょう?植物が持っている能力を最大限に引き出せば、そんな作物も創れます。植物の遺伝子資源を活用して品種改良を行うのです。昔は何百年もかかりましたが、最新の遺伝子技術を用いれば短期間で計画通りの作物を作り出す事が可能になります。ただし、そのためには植物の遺伝子を詳しく理解しなければなりません。そこで、食物繊維などの栄養分や、病気にかからないなどの育てやすさや、姿・形を制御する遺伝子の研究を行っています。夢のような作物の例として、花粉症に効果のあるお米や、自分で殺虫剤を作って身を守るトウモロコシがもう出来ています。将来は、環境に広がってしまった毒物を吸収して集める草や、電気を使わずに光る街路樹や、マンガのように一本の木にチョコ風味やバニラ風味でバナナやリンゴやメロンのような実を代わるがわる作らせることさえも、理論的には可能です。卒業生の多くは、食品・医薬品のメーカーや流通などのバイオ関連企業に勤めて、研究・開発や品質管理・流通管理などの職種で、ここで学んだ専門知識を生かしています。教授がイベント好きなせいか、総務へ行った学生も。林田信明教授名古屋大学大学院卒、理化学研究所勤務の後、信州大学で専任助教授として遺伝子実験施設の立ち上げに携わり、2009年より現職。研究分野は植物分子育種学。植物の能力の最たるものは光合成だが、白い部分はその能力を失っている。その原因を探る事が、光合成そのものの理解につながるハクサイとカブはまるで似ていないが、互いに交配が可能な単一の「種」である。これほど形が異なる原因を解き明かせば、他の作物の形も同じように変えられるだろう生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像梶浦研究室蚕・野蚕の遺伝資源を保存し、シルク産業の復興と国産生糸のブランド化に利用します梶浦研究室では、カイコとその近縁種ヤママユガ(天蚕)の遺伝育種、脱皮変態、卵形成、系統関係を研究しています。遺伝育種の研究には、亜種と多数の産地別の系統が必要なので、それらを保存しています。このような努力が認められ、天蚕は高度なライフサイエンスの研究資源としてナショナルバイオリソースプロジェクト(文部科学省)に選ばれています。実際、天蚕の優良系統を育成し、天蚕糸産地の天蚕飼育を支援しています。農商工連携人材育成事業の支援をし、わが国のシルク産業の再活性化につなげようと思います。梶浦研究室では、カイコや天蚕の新品種と新飼育技術を開発し、生糸・天蚕糸産地の活性化と日本のシルク産業の復興を目指しています。飼育に情報通信システムと太陽発電などを取り入れ、次世代の飼育体系とネットワークを構築します。研究から広がる未来は、家蚕生糸・天蚕糸産地の後継者育成、農商工連携事業の人材育成に協力し、シルク産業やさらに他の農作物の生産が活発に営まれるような未来です。大学院進学、繊維会社、食品会社、JA、地元企業、農学系公務員などになっています。梶浦善太教授学位:農学専門分野:農学・応用昆虫、分子遺伝学、育種学キーワード:遺伝、育種、卵形成、バイオリソース天蚕の繭と糸天蚕の繭はきれいな緑色になる。天蚕の仲間は世界中に分布しているがこの色の繭は日本のものだけである。天蚕糸は貴重で高価なものである安曇野天蚕飼育場安曇野市天蚕振興会の天蚕飼育を支援しています。安曇野市の天蚕糸は240年の歴史があり、国内で最も古くから続いています生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像

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