2013繊維学部研究紹介
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中垣研究室新しいシルクをカイコに作らせる!環境に優しい高機能生物繊維の開発クモの糸は、世界最強の繊維として注目を集めています。クモの糸で軽くて着心地のよい防弾チョッキを作ることも出来ます。クモ糸の量産を難しくしているのは、クモの大量飼育が困難なためです。クモが餌として生きた虫を食べ、共食いするので、大量飼育が困難なのです。カイコは絹を効率よく作る生き物です。中垣研究室では、遺伝子操作によって、クモ糸遺伝子をカイコのゲノムDNAに組込みました。そして、クモ糸をカイコに作らせることに成功しました。現在、絹糸にクモ糸が混ざったシルクを吐くカイコの育成を進めています。クモ糸は軽くて強いうえ、生物分解で容易に無害化できる生体適応型、環境保全型の新しい繊維素材・産業資材として世界中で注目されています。中垣研究室では、靴下メーカーと協力してクモ糸を含むシルクで靴下を試作しました。クモ糸は衣料分野だけでなく、産業資材として医療・軍事分野での応用、航空機・車体・スポーツ用品などへの応用、食品・化粧品としての利用なども期待されています。食品会社、製薬会社、化粧品会社、繊維会社、医療や環境分野の分析・検査会社などで活躍している卒業生が多いです。公務員・教員になった卒業生もいます。大学院に進学して卒業後、研究機関や大学での研究に従事した卒業生もいます。中垣雅雄教授信州大学繊維学部助手、助教授を経て、1999年より現職。研究分野は昆虫の遺伝学や病理学、資源分子昆虫学や応用昆虫学。強いクモ糸でクモの巣を作るジョロウグモ(左)ジョロウグモのクモ糸を含むシルクで試作した靴下(中央)クモ糸を含むシルクを吐くカイコ(右)クモ糸遺伝子を注入するためのカイコの卵を並べている生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像環境指標生物として利用しているアカムシユスリカの幼虫平林研究室ヒトの健康と水環境の保全に関する研究ー生物指標を用いた水環境変動の解析河川や湖沼などの淡水域における生物群集と環境との関わり合いについて研究をしています。水環境の変化を知る手段として、生息している生物の種類や生息密度、バイオマス、生態系の中での役割の変化などを利用します。こうした生物の出す信号をキャッチすることにより、現在の水環境の状態や今後の方向性などを予測することができます。「指標」にしている生物は、生態系の中では「分解者」としての役割を果たす「底生動物(湖や川の底にすんでいる生き物)」です。これらの生物についての研究は世界的にみても遅れており、皆さんの若い力が求められています。一緒に研究しませんか?このすばらしい日本の水環境を、私たちの次の世代の人たちにより良い形で残していくためには「どのようにしていったらよいのか」「そのためには今、何をしなければならないのか」を常に考えていかなくてはなりません。「自然との共存」は大変なことです。自然のこと、生物のことをよく知ることにより、その方策を見いだしていくことが大切ではないでしょうか?「生物のプロ」になりませんか?大学院修了者は、製薬会社研究所、地方公共団体研究所、害虫防除会社研究所、民間水質検査機関など、研究職に就く人が多いようです。高校、中学の教員になる人も多くいます。学部卒業では、食品系会社、繊維系会社、金融機関など様々です。平林公男教授山梨県立女子短期大学助教授、信州大学繊維学部助教授を経て2007年より現職。英国のLondon大学やオーストラリアのMelbourne大学に留学経験をもつ。研究分野は応用生態学、陸水生態学、衛生動物学、環境衛生学。環境省の許可を得て、特別保護区である上高地での水生昆虫類の調査。焼岳をバックに梓川の冷たい水が肌を刺す生物資源・環境科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像国土交通省土木研究所との共同研究で、河川の一部を堰き止め、水生生物などの総合調査を行う

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