2013繊維学部研究紹介
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野末研究室植物を科学し、安全・安心な野菜を工場でつくる地球温暖化や異常気象により農作物の安定生産・安定供給が難しくなっています。農作物の栽培には水や肥料が必須ですが、地球上の水資源や肥料の原料となる鉱物資源の枯渇が問題になっています。植物バイオテクノロジーの進展は、それらの問題解決に重要な役割を担っています。野末研究室では、植物細胞や細胞小器官の働き、環境に適応する光合成しくみ、植物がより効率よく生長するための環境要因についての研究が行われていています。植物を人工環境下で栽培することが可能です。栽培環境を高度に制御した閉鎖系で野菜栽培する植物工場が世界中で注目されています。植物工場は天候や季節に関係なく野菜を周年・計画栽培できるシステムです。低・無農薬栽培による安全・安心な野菜、ポリフェノールを初めとする抗酸化物質などを多く含む野菜栽培も可能です。温暖化・災害で農作物の安定供給が困難になりつつあり、植物工場の重要性が高まっています。課題は『省エネルギー野菜栽培システムの確立』です。植物科学はその重要な研究分野の一つです。種苗、食品加工、製紙関係、製薬、食品流通関係、教員、公務員等に幅広く卒業生を輩出。志望動機をしっかりと自覚し、本当に働きたい企業を十分に納得して選択する事が大切。そのためには日頃からの自分で考え行動する主体性が大事。企業の発展を通して社会貢献と自己実現。野末雅之教授名古屋大学大学院農学研究科修了、信州大学理学部生物学科を経て、現在、信州大学繊維学部生物機能科学課程、2011年より先進植物工場研究教育センター(SU-PLAF)センター長。専門分野は植物細胞生理学。植物細胞の液胞に蓄積されるポリフェノール化合物(a-e)、光合成が行われる葉緑体(ワサビ)の電子顕微鏡観察(f)温暖化によりワサビ栽培は深刻化している。写真は、人工環境下(植物工場)で生産されたワサビ苗と定植試験生物機能科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像abcdef定植後56日目ワサビ苗の定植定植苗田口研究室知られざる植物のチカラ。私たちの暮らしを豊かにするその能力とは?植物の持つさまざまな機能について研究している田口先生。例えば、植物は作った物質にグルコースなどの糖をつけて細胞の中に貯め、必要なときに糖を外して使う性質があります。この機能を薬など役に立つよう、物質の加工に応用できないかと考えています。水に溶けにくい物質に植物の持つ酵素を使って糖をつけ、水に溶けやすくしたり安定性を高めたりすることが可能になるのです。その他、私たちの健康に役立つ植物成分がどのように作られているのかを調べています。植物の機能を科学的に追究することで、私たちの快適な毎日につながっていきます。植物は周囲とのコミュニケーションのためにさまざまな物質を作り出しますが、それが、人にとっては薬となったり、いい香りだったりと、体に良い効能がいろいろあります。現在研究室で研究を進めている植物が身を守るため有害な物質を無毒化する機能は、逆に環境浄化などにも使うことができます。こういった植物が持つチカラを研究し解明することで、私たちの生活に応用できることがたくさんあるのです。人や環境に有益な研究は幅広くニーズがあり、主に食品関連への就職が多い田口研究室。その他にも分析関連の業務を行う会社や、薬品関連、農業関連への就職も少なくありません。高校の先生として活躍している卒業生もいるそうです。田口悟朗准教授信州大学繊維学部や信州大学遺伝子実験施設で助手を務めた後、2008年より現職。研究分野は、植物の有用物質生産に関わる酵素反応や遺伝子解析、その有効活用を図るといった応用生物化学。生物機能科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像桑の葉には、血糖値を下げるのに有効な成分が含まれている。その成分ができる仕組みについて解析をすすめているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm抗酸化物質を含む身近なワサビの葉からDNAを抽出抽出した植物の遺伝子の塩基配列をパソコンで解析するサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm

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