2013繊維学部研究紹介
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下坂研究室小さな微生物のすばらしい能力を私たちの暮らしに大きく役立てたい下坂研究室では、自然界に存在する多種多様な微生物の中から有用なものを探し、食糧・環境・エネルギーといった私たちが抱える問題の解決に役立てる研究を行っています。例えば、カニ・エビ殻由来のバイオマスであるキチン・キトサンを有効利用するために、強力な分解細菌を見つけて、その分解酵素について調べています。また、キノコができる仕組みを遺伝子レベルで解明し、貴重なキノコの人工栽培を目指しています。小さな微生物のもつすばらしい機能に学び、バイオテクノロジーを用いて、その機能を大きく活かすことがねらいです。食品、酒類、薬品、化成品を扱う企業に就職する学生が多い。微生物を実験材料にして、代謝、酵素、遺伝子などの多様な生命現象を学ぶことで、学生は生物を利用した産業に進むことを希望します。下坂誠教授1985年に信州大学繊維学部に助手として着任し、2004年より現職。専門は応用微生物学。大学の卒論研究から、細菌、酵母、カビ、キノコなど様々な微生物を扱ってきた。顕微鏡で観る微生物の世界は魅力いっぱいだが、最近は老眼で観察に苦戦中。実験に用いているさまざまな微生物の写真です。研究室の冷凍庫の中には1000種類以上の微生物が保存されています生物機能科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像下坂研究室では、微生物を用いて、有用な物質を作ったり、環境中の汚染物質を分解したりといった応用研究を展開しています。小さな微生物には、まだ謎がいっぱい。実は、これまでに学名が付いた微生物は自然界に存在する微生物のわずか1%程度です。自然界は未知の微生物でいっぱいの宝の山です。すばらしい能力を秘めた未知の微生物との出会いが楽しみです。1.0 m 上田城の堀水から強力なキチン分解細菌(新種)を発見しました微生物の遺伝子を電気泳動で調べる実験の様子です藤井研究室「セルフリサイクル」とこれから生まれた毛髪科学への応用今までの卒業(修了)生は、資生堂、ライオン、メニコン、旭化成、ユニチャーム、大塚製薬、久光製薬、東レ、東洋紡、セイコーエプソン、村田製作所、獨協医科大学、信州大学、長野県、他へ就職。今後は、学生個人の能力と希望が重要。藤井敏弘教授研究分野は、セルフリサイクル、バイオ材料開発、タンパク質工学、生体高分子。所属学会は、香粧品学会、繊維学会、生化学会、高分子学会、薬学会。得意な分野は、生化学、脳科学、タンパク質科学、おまけで歴史。「コスメティクスジャパン(国際化粧品開発展)」@東京ビッグサイトにて、「ケラチンフィルム」に関する発表と広報活動サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm目指せTOEIC 700点!(?)勉強会サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm生物機能科学課程応用生物科学系研究から広がる未来卒業後の未来像セルフリサイクルとは、“自己由来の組織や生体物質を原材料として有用な加工品へと変換すること”を言います。藤井研究室で2002年から提唱しております。Q1:自己由来の組織というのは移植医療で使う臓器なのでしょうか?A1:いいえ、ここで使用するのは、毛髪や爪といった私たちが日常生活で廃棄しており、再生可能な組織で採取も容易であるため、これらを第1ステップでの対象としております。Q2:廃棄はしておりませんが、血液などは使用しないのですか?A2:『今のところは使用しません。再生可能な血液も魅力的ですが、採血や保存はやはり大変であります。また、肝炎などのウイルスの問題もあります。しかし、髪の毛と爪の研究にめどがたてば、第2ステップでの対象と考えております。Q3:有用な加工品とは何ですか?A3:ケラチンフィルムで、ヘアケアと関連した製品開発に利用して、写真にもあるように展示会などで宣伝しており、いくつかの企業で使われてきております。50年後の大学生の会話を想定A君:江戸時代ではマグロのトロの部分をほとんど捨てていたのだって!B君:冷凍技術がないため保存がうまくいかなかったのか、当時の人は現代人とは味覚が違っていたのかな。A君:50年前は、美容院や理容店で髪を切ってもらい、捨てていたのだって!B君:本当!もったいない。貴重な資源なのにね。昔は加工する技術がなく再利用できなかったからみたい。

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