2013繊維学部研究紹介
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太田研究室液晶を見てみよう!現在、液晶はパソコンや薄型液晶テレビに使われており、私達の身近にあります。この液晶は分子の形が棒状で「棒状液晶」と呼ばれています。しかし、液晶にはこの他にも分子の形が円盤状の「ディスコティック液晶」と呼ばれているものもあります。このディスコティック液晶は、現在実用的応用はほとんどされていませんが、棒状液晶とは全く異なる分野(太陽電池等)に応用が期待され、研究が急速に活発になってきている未来材料です。太田研究室ではこの「ディスコティック液晶」を用いて有機太陽電池に適した新規材料の研究を行なっています。現在用いられている太陽電池にはシリコンが使われていますが、硬くて重いという欠点があります。しかし、有機薄膜太陽電池を用いれば柔軟で軽くすることができます。さらにディスコティック液晶を用いることで、コストを大幅に削減することができ、大量生産することができます。将来的にはより太陽電池が身近な存在になると考えられます。太田研究室では研究に必要な「合成」と「物性」の二本柱を両方学ぶことができます。そのため学部や大学院を卒業した後は、「合成」の知識を活かして素材メーカーや化学メーカーに就職したり、「物性」の知識を活かして電機メーカーに就職したりして活躍しています。太田和親教授東芝総合研究所化学材料研究所研究員や信州大学繊維学部助手、同大学助教授を経て、2007年より現職。研究分野は液晶の物理化学、分子集合化学、錯体化学。ディスコティック液晶を顕微鏡で観察したもの。物質によって模様も変わってくるので、どんな模様が出るかも研究の楽しみの一つ自分で合成したディスコティック液晶を顕微鏡を使って観察。一体どんな模様が出るのでしょうか?機能高分子学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像伊藤研究室必要な時に分解・回収可能な有機材料。環境に優しい循環型材料の救世主になれるか?!丈夫で長持ちする材料が必ずしも良いとは限りません。使用後に分解可能で無害な物質となる分解性材料が注目されています。その代表選手が『生分解性プラスチック』です。しかし、微生物の助けが必要なため分解に長時間かかり、また分解した物の回収・再利用も難しいのが現状です。必要な時に必要なだけ分解し、分解物も簡単にリサイクルできれば、環境に優しいだけでなく機能性材料としてその用途は大きく広がります。伊藤研究室では、界面活性剤やプラスチックなど身近な有機材料に『化学分解性』を付与することを研究中。伊藤研究室では、光照射や酸・アルカリの添加ですばやく分解・分離回収できる有機材料を開発中。界面活性剤やポリマーは、身近にある最終製品(洗剤、プラスチックなど)としてだけでなく製造過程や廃棄物の処理工程など広範囲に使用されているので、化学分解性を付与できれば、あらゆる分野で品質向上、効率化、安全、環境保全などが期待される高機能エコマテリアルとして活躍するでしょう。塗料や接着剤、繊維、樹脂などポリマーを扱う化学メーカーや薬品会社に就職する学生が多いのが特徴。研究室における有機材料の合成から評価までの幅広い経験を生かして、有機材料メーカーの研究開発職などでがんばっています。伊藤恵啓教授信州大学繊維学部助手、助教授等を経て、2009年より現職。研究分野は高分子合成化学、光化学、有機材料化学。アルカリ加水分解性の界面活性剤(洗剤)溶液に弱アルカリを少量加えると直ぐに泡が消えて固体(分解物)が析出する分解性界面活性剤を含む高分子微粒子(ラテックス)を用いると速乾性などの高機能性の水溶性塗料や水溶性顔料インクができる機能高分子学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像6 m60 m繊維表面への塗料の塗布(電子顕微鏡写真)紙表面への塗料の塗布(電子顕微鏡写真)紙表面への顔料インクの塗布

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