2013繊維学部研究紹介
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個々の水分子は周囲の水分子が作る場からミクロな摩擦力を感じて運動する。この摩擦力の性質と水分子大集団の挙動との関連を探る佐藤研究室生命現象を支えるミクロな世界の仕組みを物理と化学の力を使って探究する!「水と生体分子」が私達のキーワードです。おおよそ全ての生命現象は水の中で起こっているからです。生命を支えるミクロな世界の仕組みを「分光法」や「散乱法」と呼ばれる方法で探っています。特別な性質を持った光(電磁波)を様々な物質に当て、反射、透過、または散乱された光を上手に検出すると、ピコ秒(=百万分の1秒の更に百万分の1)で繰り広げられる非常に速い分子の運動や、ナノメートル(=10億分の1メートル)の微小な世界で働く「蛋白質と呼ばれる分子機械」の様子を捉えることが出来ます。研究成果は、医薬品、化粧品や洗浄剤などの開発にも役立てられています。近年の社会情勢から、即座に社会還元が可能な実用研究が注目されがちです。そんな時代に敢えて、基礎研究に没頭し、「水と生体分子が織りなす神秘」に迫ります。皆さんがプロサッカー選手なら試合に出場しゴールを決めたいですよね。バレエダンサーなら、主役を射止め世界中のファンを魅了したいはずです。私達も同じく、プロの研究集団として、アメリカ化学会や英国王立化学協会などの学術誌に研究成果を次々と発表していきます。就職先、気になりますよね。私達の研究や技術は、医薬品・化粧品・洗浄剤開発に関連する産業界へ繋がります。が、この際、分野や業種は何でもいい!高い問題解決能力と深い洞察力で、世界に通用する頼もしい人材を輩出することが目標です。佐藤高彰准教授早稲田大学出身。日本学術振興会特別研究員DC2、同PD、早稲田大学理工学術院講師、信州大学国際若手研究者育成拠点助教を経て2012年4月より現職。水と生体分子を含むソフトな系を学際的に研究する。人口酸素運搬体などの研究にも携わる。専門は化学物理。小角散乱法という手法で、微小な世界での蛋白質の集団的な振る舞いを調べる。筋肉、細胞骨格、赤血球機能や代謝にも関連するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像滝沢研究室環境に対して負荷が少なくリサイクル可能な材料の研究滝沢研究室は藤松研究室と共同して環境に対して負荷が低くリサイクル可能な材料であるポリエチレン(PE)に注目し多様な用途に利用できるようにするための総合的な研究に取り組んでいます。例えば「アロフェン」は自然界に存在する無機粘土鉱物ですが石炭を燃焼した後に残る「産業廃棄物」と同様な物質です。これらが環境ホルモン類などの有害物質を常温で分解する触媒能力を有していることを発見し、応用する研究を進めています。これらをPEやレーヨン繊維に担持させて複合材料にし、その触媒特性を利用するシステムなどを提案しています。当研究室では「自分で考える」ことを基本に研究に取り組んでいます。研究室では広い視野で物事を客観的に把握しながら活動することが重要ですが、同時にトレーニングの場としてとらえることで将来必要とされる世の中のどんな要求にも的確に応えられるようになるでしょう。材料化学工学課程で勉学すると材料とその物性に関する幅広い知識を持ち、さらにプロセス(作り方)やシステム(使い方)を具体的かつ積極的に提案できる人になれるはずです。滝沢辰洋助教信州大学繊維学部機能高分子学科卒業信州大学繊維学部教務員、助手を経て現職。興味のある分野は材料物性全般。天然アロフェンの走査電子顕微鏡写真。火山灰土壌に大量に存在し、室温・大気圧・暗状態でも環境ホルモン類を分解します「アロフェン」を中心部に詰め、その外側を粘土で覆った「アロフェン団子」の断面(左)。マイクロ波を使った焼結させたもの(右)材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像12mm

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