2013繊維学部研究紹介
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福長研究室燃料電池を身近なエネルギーに!燃料電池は、環境問題・エネルギー問題を解決するための切り札として期待されています。福長研究室では、白金を使わない燃料電池の開発に取り組んでいます。その一つは、高温で作動する固体酸化物形燃料電池で、反応速度が高いため貴金属の触媒を必要としません。もう一つは、低温で作動して扱いやすい固体高分子形燃料電池で、白金の代替触媒として、シルクを原料とする活性炭の開発に取り組んでいます。いずれも、電極の中のガスやイオン・電子の移動が重要で、新規材料の開発とともに、電極構造の最適化に取り組んでいます。燃料電池は、エネルギーを効率よく取り出せる夢の技術です。大型の発電所、家庭用の発電機、自動車の動力、携帯機器の電源、人工臓器の動力など用途は広がっていきます。しかし、普及には低コスト化が欠かせません。シルクを原料とした活性炭は安価な触媒として期待されますが、どうして触媒性能を有するのかはまだ謎も多く、この研究が進み、電極の白金を代替することができれば、燃料電池はどんどん身近に使われるでしょう。化学工学を活かせる分野は多く、卒業後の就職先としては、化学、電気・電子、自動車、エネルギー関連など幅広いです。福長博准教授信州大学繊維学部助手を経て、2009年より現職。主な研究分野は、固体酸化物形燃料電池や固体高分子形燃料電池を対象とした化学工学と電気化学。作製した固体高分子形燃料電池の電極固体酸化物形燃料電池の発電装置材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像森研究室身近な材料を混ぜて塗ってみたら高効率太陽電池!現在市販されている太陽電池はほとんどシリコンという材料から作られています。しかし高純度の結晶で複雑な構造をつくるためには大きなエネルギーが必要です。一方酸化チタン(日焼け止めクリームなど)、ヨウ素(消毒液など)、色素(ブルーベリーとか)を混ぜて塗るだけでも太陽電池がつくれます。そしてそんな材料で作った太陽電池のエネルギー変換効率は高く、さらなる効率向上を目指して世界中で多くの大学と企業が研究開発を行っています。森研究室でも高効率太陽電池の開発と、電子移動メカニズムの解明に取り組んでいます。自然エネルギーの代表である太陽光。太陽光から電気エネルギーに変換する太陽電池の普及には製造コストと材料コストを下げつつ、高い変換効率を達成しなければなりません。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池はそんな低コスト高効率次世代太陽電池として期待されています。また電子移動メカニズムの解明を通して、安価な材料を用いた新しい高性能デバイスが設計できるようになると考えられます。材料メーカー、デバイスメーカー、電気メーカーなどに就職しています。太陽電池に限定されることなく、本質的な視点から材料やデバイスの設計と開発ができる人材となることを期待しています。森正悟准教授ノキア・ジャパン株式会社や信州大学繊維学部助教を経て、2009年より現職。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、半導体や界面での電子移動が研究分野。さまざまな色素の溶液とその色素から作製した色素増感太陽電池。デザインの良い太陽電池の作製も可能大掛かりな装置が無くても太陽電池の作製が可能材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像

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