2013繊維学部研究紹介
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究極のナノ材料ともいえる酸化物ナノシートの原子間力顕微鏡像。一枚のナノシートの厚みは1ナノ㍍に満たない。このナノ材料をつかって一瞬で電気を貯める「超」急速充電可能なスーパーキャパシタを開発しています。3秒で携帯電話が充電できるのも夢じゃない?上)実験室風景。下)毎朝8:30からの朝英語ゼミの様子杉本研究室小は大を兼ねる?次世代の電池技術の最前線燃料電池やスーパーキャパシタ用ナノ材料開発小さなモノで大きなエネルギー~ナノ材料で環境・エネルギー問題に挑む~このキャッチフレーズを合言葉に,日々教育研究に励んでいます。例えば私たちがつくる燃料電池の心臓部ともいえるナノ触媒は,数ナノ㍍(1ナノ㍍は10億分の1㍍)しかありません。つくった電気は,瞬時にスーパーキャパシタに貯めます。スーパーキャパシタはナノ材料の表面を利用した新しい蓄電技術であり,秒単位での蓄電が可能になります。小さいからこそ良いことだってあるんです。資源に乏しい我が国の美しい自然環境を守りたい。環境負荷が少ない電気化学反応を利用することで,クリーンなエネルギーを生み出し,蓄積できます。私たちはこの反応を担う新しいナノ材料やその合成法や利用法を開拓しています。研究室では,基礎から応用まで深くかつ広く展開することで,学生は「生きる力」「グローバルマインド」を身に着け,+αの力をもった人財として社会に貢献しています。キーワードは,環境,エネルギー,水(水素)です。合成からデバイスまで,基礎化学から応用物理化学までカバーしているからこそ,卒業生は自動車,電機,材料,電子,化学系等幅広いフィールドで研究者,エンジニアとして活躍しています。杉本渉准教授〔経歴〕1999年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了,同年信州大学繊維学部助手,2007年から現職。〔専門〕電気化学,材料化学,触媒化学。〔受賞〕電気化学会進歩賞,国際電気化学会デノラ賞他〔趣味〕かつては庭球。現在は暴飲暴食。燃料電池に使用される白金ナノ触媒。燃料電池は,CO2を排出せず,水素エネルギー社会を可能にするキーテクノロジーの1つですサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像50 nmPtナノ触媒2 nm炭素微粒子50 nm毛髪の1/1000の炭素が電子を集めるカーボンナノチューブの直径程度しかない白金粒子の表面で電気化学反応が起こる高橋研究室地球温暖化防止の決め手は繊維!CO だけでなくコストも大幅に削減することに地球温暖化防止のために欠かせないのが、CO の削減です。大気中に排出されるCO の半数近くは、火力発電所や大規模工場等からの排ガスによるもの。こうした中、高橋研究室では排ガスからCO のみを分離回収する新たな技術を研究中。これは筒状の中空糸膜の内側にCO と反応する吸収液を流すことで、外側の排ガス中からCO のみを吸収するというもの。実はCO を貯蔵するまでの過程の中でコストの大半を占めるのは、分離回収の段階なのです。この技術が実現すれば、より低コストな分離回収が可能になると期待されています。このCO 分離回収技術以外にも、高橋研究室では乾燥地での植林や、木質バイオマスを固形燃料に変換する際の効率的な方法などを研究中。一見、全く違う研究を行っているように感じられますが、どれもが環境問題やエネルギー問題の解決に即効性があり、地球温暖化防止に貢献するためのもの。ヒトが生きていく限り生み出されるCO 。それをいかに抑えるかは、あらゆる分野で考えなければならない課題です。化学プラントメーカーや水処理技術の会社への就職がある一方、授業や研究室で身に付けた化学工学の知識と技術、そして幅広い視野は様々な業種で活かすことができるため、就職先は多岐にわたっています。高橋伸英准教授東京大学で博士号を取得後、信州大学繊維学部助教を経て、2009年より現職。専門は化学工学、環境工学。研究コンセプトは「CO +水+土+太陽+知恵+技術→幸せ」。材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像中空糸膜によるCO の吸収度合を比較検討するため、その過程を分析する。この吸収・放散装置は学生自身が設計し、実験を行っているサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm膜の細孔の大きさや表面の形状がCO 吸収に及ぼす影響を調べるバイオマス由来の新規吸着剤の開発・研究も行っているサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm

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