2013繊維学部研究紹介
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藤松研究室限りある資源を有効に利用できる環境負荷の低い高性能な高分子材料の開発環境に対して負荷の低い高分子材料として,加熱すると柔らかくなる熱可塑性ポリマーがリサイクルしやすいことから注目を集めています。中でもポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)は燃やしても水と二酸化炭素になるだけで有害物質を排出しないことから特に注目されています。しかし,多様な用途に利用できるようにするには,もっと強くて変形しにくく,壊れにくい材料にすることが求められています。そこで,当研究室では学生と共にPEやPPに注目し,これまでに難しいとされていた高強度接着法,染色法,複合材料調製法,新規高強度高弾性率繊維製造法,ナノファイバー製造法などの開発を総合的に行ってきました。これまでの研究の結果,例えばPEやPPに微細な粒子をわずか2~4%加えるだけで強度が約2倍になり,難燃性の高い複合材料になること,また新規の紡糸法を用いると市販されているPE繊維の2倍以上の強度を有するPE繊維ができることも分かってきました。PEをPE繊維により強化すると,極めて強度の高い複合材料ができることもわかってきました。これらの研究が発展して,近い将来,車,電車,飛行機などの様々な部分にPEやPPを主成分とする材料が使われるようになる可能性がでてきました。様々な材料が開発されていますが、それらを複合化して様々な材料を作ることが多いため,製品化に当たっては材料の界面のことを学んだ人材が求められるケースが増えています。将来どんな仕事に従事することになっても,界面化学の視点から材料を扱うことができる人材は貴重です。藤松仁教授藤倉化成㈱,信州大学繊維学部助手,助教授を経て,2004年より現職。研究分野は界面化学,高分子化学,複合材料化学。材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像LLDPE/Clay複合材料の組成と引っ張り強度および伸び率の関係村上研究室世界初の材料、プロセス、システムを開発。エネルギーの自給自足を目指す村上研究室の開発した光学材料や無機ナノファイバなどの材料は、世界でオンリーワンの材料であり、実際に使用されています。新しい材料を開発する鍵は、アイデアとオリジナルな触媒、反応装置にあります。世の中で活躍する新しい材料を開発したいという希望に応える研究室です。現在、力を入れているのが、エネルギーの自給自足です。バイオマスをエネルギーをあまりかけずに乾燥できれば、水分率が多い水産資源の利用も可能になります。また、熱から効率よく発電できれば、太陽光の波長の長い領域を電気に変えることができます。企業の望むことをすれば実用化するように思われていますが、実際にはうまくいきません。新しい市場が広がらないと、研究成果が世の中で使われません。誰も考えなかった新しいビジョンを提案することで、はじめて大きな研究に発展します。新しいビジョンを提案できる研究者に育ってもらいたいと思っています。新しい材料の開発の確率は、打率のようなものであり、うまくいかないことのほうが多いです。村上研究室で鍛えることで、開発の確率を高め、研究者として、たくましく生き残っていけます。村上泰教授1993年に繊維学部に着任。2007年から現職。2007年から5年間、知的クラスター創成事業の研究リーダーを務め、先進的な産学連携を行ってきた。研究分野は材料化学。社会の問題を解決するためにほんとうに必要な研究を厳選し、世界初、オンリーワンを追及している材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像光触媒などに用いられる酸化チタンナノファイバ写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm高活性で寿命の長い白金/シリカ燃料電池触媒村上研究室が取り組む様々な研究課題

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