2013繊維学部研究紹介
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阿部研究室デジタル画像記録技術の応用展開:ナノ・ミクロの製造からファッションまで深山の霧粒は平均直径約4ミクロンの大きさの水滴です。皆さんがパソコンにつないでいるインクジェットプリンタのインク滴1個の直径はその2倍程度です。微小の液滴を精度よく決まった場所に一定の量だけ打ち込むことができる装置、それがインクジェットプリンタなのです。プリンタのヘッドノズルから射出することができるインクを作る化学、ミクロンオーダーの高精細プリントを可能にする物理、高精度のプリント技術の応用展開を図るイメージング工学、これらに関して知的興味を満たし応用展開の幅をさらに広げていくことに、私たちは研究室で日々取り組んでいます。平均直径数ナノメートルの金属粒子、特に銀ナノ粒子の簡便な作り方を開発しています。これを水中に分散し、インクジェット用のインクに仕上げ、フィルム上に電子回路をプリントすることができます。この技術を利用すれば、たとえば服の襟に太陽電池を形成して、ファッショナブルなデコレーションを作ることもできます。紫外線硬化性インクなどの特殊インクを組み合わせることで応用展開は拡大します。プリンタ用材料およびイメージング工学に関する研究を通して学んだことを技術的基盤として、卒業生は、プリンタ関係、材料化学、コンピュータソフトウェア等を主業務とする企業へ就職し、研究開発等の分野で活躍しています。阿部隆夫教授1976年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。大手企業の研究開発部門で多くの製品を開発し、その事業化を行ってきた。2003年、信州大学教授、現在に至る。専門分野はイメージング材料工学、技術経営工学。パソコンでプリント配線パターンをアレンジし、それを高解像度のインクジェットプリンタでプリントするサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm材料化学工学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像インクジェットプリンタで用いるためのインクをつくる写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm透明なフィルム上にプリントして作った電子回路の例写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm高塚研究室エネルギーと環境の調和を追い求める長らく企業で化学・環境プロセスの研究開発に携わっていましたので、単なる夢は語りません。戦後、経済発展に傾注した結果、1970年代に至り日本国内は著しい環境汚染に痛めつけられました。その後、1990年代までには工場、火力発電所からの排煙を、2010年までには自動車排ガスを浄化する技術を確立し、長きに亘った地道な研究開発の成果はいまや世界の環境汚染をクリ-ンアップして行きます。プロの目で本当に社会に役に立つものを実直に考えていきたいと思います。企業では高温・高圧の水素化処理プロセスを中心に研究していましたが、大学では研究の実施に危険が伴わない石油の流動接触分解(FCC : Fluid Catalyst Cracking)プロセスを研究テーマとしています。これによって,ガソリンの品質(オクタン価)の向上、石油化学製品(オレフィン、芳香族)の製造などを研究中です。バイオマスも使い勝手のいい液体燃料エネルギ-に転換できないかと思案中です。それも安価に。豊かで安全な社会が継続できるために社会のニーズに応えられるプロフェッショナルエンジニアになろう。革新的プロセスやシステムを構築して縁の下から力強く社会貢献しよう。材料化学工学課程化学・材料系高塚透教授千代田化工建設(株)1971-2002、(株)野村事務所2002-2005を経て2005年より現職。研究分野は反応工学、触媒プロセス工学、環境プロセス工学。流動接触分解プロセス研究から広がる未来卒業後の未来像

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