2013繊維学部研究紹介
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平田研究室ペットボトルには小さな孔がイッパイ!?そんな高分子膜の謎を紐解き、開発に着手ペットボトル等に代表される合成樹脂の高分子膜には、実は非常に細かい孔が空いています。と言っても、液体は通さずにわずかな気体を通す孔ですが。この気体の通りにくさ(バリア性)を100万倍ほど高めて、電子材料向けのバリア材ができないかという研究を進めているのが平田研究室。実現すれば、液晶テレビや携帯電話の画面がガラスからプラスティックに切り替わり、価格を抑えることまでもが可能になります。またガラスよりも薄く、軽く、柔らかいため、破損する可能性も低くなるほか持ち運びも便利になるので用途も格段に広がるという、いま注目の研究分野なのです。バリア性を高め何も通さない高分子膜を開発する一方で、「特定の物質だけを通す」高分子も研究中。この特性を活用すれば、大気から酸素のみを取り出したり、海水を真水に変えるといったことも可能に。人工透析など医療の現場での利用も考えられています。またこの技術は私たちの生活に直接生かせるものだけでなく、研究者が実験を行う際にも非常に役立つ技術でもあり、多くの開発にひと役かっているのです。主に化学系メーカーなどへの就職が多い平田研究室。一方、高分子や膜の製作から評価に至る一連の過程を体験することで、物事を広く見る目を養えることから、業界を超えた幅広い研究分野で卒業生が活躍しています。平田雄一准教授明治大学理工学部専任講師、フランス国立農業研究所博士研究員、信州大学繊維学部助手等を経て、2010年より現職。主な研究分野はバリアフィルムや分離膜、染色化学等。応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像左が塩水、右が真水で、間にあるフィルムを通して塩分がどれだけ真水側に移動するのかを、塩分濃度計で測定するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm酢酸セルロースをアンモニアで煮て、高分子の変化を探るサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm界面活性剤による膜の作製にも学生が取り組んでいるサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cmマクナミー研究室界面・コロイド化学:洗剤・牛乳からナノテク・バイオまでマクナミー研究室では、「界面・コロイド化学」をキーワードとして、洗剤・牛乳のような身の回りにごくありふれたものから、ナノテク・バイオにわたる幅広い分野の研究を行っています。ナノテク研究では、空気-液体界面に粒子が一層に並ぶ性質を利用して、磁気・半導体デバイスのモデル系となる粒子膜を基板上に作製しています。粒子種、構造、配列、配向等を制御することにより、安価かつ高性能なデバイスの作製を目指します。バイオ研究では、1)関節部分の摩擦を軽減する潤滑膜の創製、および2)モデル系での実験による糖尿病などの病気の原因解明を行っています。マクナミー研究室では、界面化学の観点から、ナノテク・バイオ分野の研究を行っています。具体的なデバイスを作製しているわけではありませんが、モデル系での実験を通じて、その指導原理となる基本方針の確立を目指しています。現在の社会人に求められるのは、自ら考え、自ら行動して、自ら解決する能力を身につけることだと思います。当研究室では、学生が主体的に研究を行うことにより、その能力を身につけるように指導を行っています。キャシーマクナミー准教授卒業大学:B.Sc.(hons),B.A.: University of Queensland(オーストラリア)D.Sc.: 京都大学国際研究経験:マックスプランク高分子科学研究所(ドイツ)・Lund大学(スウェーデン)等研究分野:コロイド・界面化学応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像基板に累積された粒子の単分子膜生体組織モデル系(脂質膜,DPPC)への生理活性分子のバインディングと蛍光顕微鏡像粒子固体

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