2013繊維学部研究紹介
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西井研究室有機化学を駆使して、生物現象の謎を解く。生理活性物質の探索!新反応と新薬開発!西井研究室では、生命や生物現象に有機化学をメスとして切り込みます。例えば、抗ウィルス作用や血小板凝血抑制作用のある天然物(天然から単離された物質)を全合成しました。全合成とは、天然と全く同じものをフラスコの中で合成することです。また、新しい有機反応を開発することで、今までに合成困難とされていた物質の合成を可能にします。他に抗菌・殺菌剤やフェロモンなどの生理活性物質の合成を行っています。最近、魚類のフェロモンの分子構造と活性相関を解明する研究を開始しました。魚類の生物応答の謎の解明とともに、フェロモントラップによる特定外来種の駆除にも役立ちます。有機化学的手段を武器として自然に切り込んで、有機化合物に着目することは、分子レベルで現象を解明することにつながります。医薬の薬理活性、殺菌作用、フェロモンによる雌雄の応答、各種ホルモンによる生理現象などを分子レベルで解明すれば、その応用が未来を切り開きます。つまり、天然物にヒントを得た医薬の開発、不治の病の治療薬の開発、作物の病の治療、フェロモンを利用した有害生物の捕獲、フェロモンを利用する貴重な生物のコントロールなど夢が無限に広がることでしょう。主に製薬や化学メーカーへの就職が多い。有機化合物の単離手法や有機合成的手法は「ものをつくる」最強の力になります。これらを習得した卒業生は、社会の幅広い研究分野で活躍しています。西井良典准教授ピッツバーグ大学博士研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、2007年より現職。主な研究分野は、天然物有機化学、有機合成化学、有機反応。抗ウィルス、抗HIV作用や血小板凝血抑制作用を有するいくつかの天然物の全合成を達せしました応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像OOOMeOMeOOOOOMeOMeOOMeOリンゴ斑点病に対する農業用殺菌剤の開発研究を行った魚類フェロモンの探索と分子構造の解明と構造活性相関の研究藤本研究室有機分子の左手右手系を制御する。高選択的不斉触媒の開発有機分子には、鏡像関係にあるいわゆる左手右手系分子が存在する場合があります。鏡像関係にあるため、それらの化学的、物理的性質はほとんど同じですが、生体にとっては異なる分子であるため、特に医薬品開発においてそれらを区別して合成することが重要になります。当研究室では,それら左手右手系分子の一方を選択的に合成するための不斉触媒の開発を中心テーマとして研究を行っています。新しい触媒の創出には触媒をいかにデザインするかが重要ですが、希少金属を用いない、簡便に合成可能、高選択的高活性をキーワードにした新規な触媒創出を目指しています。有機合成化学は、新しい材料や医薬品を開発する上で必要不可欠な技術であり、新しい反応、触媒の創出は、有用物質の効率的合成のため重要です。当研究室では、有機合成において重要な炭素-炭素結合形成反応の他、基本反応であるエステル化反応を触媒する不斉触媒の開発を行っています。不斉エステル化反応によりバイオマスであるグリセリンの機能化、光学活性アルコール、アミンの簡便供給が期待されます。有機合成化学は、実際に有機分子に触れ、その反応性、物性を体感する研究分野であるため、有機化合物が関係する広い分野での活躍が可能です。製薬関係のほか、低分子、高分子製品製造メーカーに卒業生を輩出しています。藤本哲也准教授信州大学大学院工学系研究科機能高分子学専攻修了。現職:信州大学大学院総合工学系研究科(化学・材料系応用化学課程兼任)准教授。研究分野:有機合成化学。特に有機合成における新規手法、新規触媒の開発。実験室風景。様々な試薬や溶媒、ガラス器具を使い目的とする有機化合物を合成していく。生成物の構造はNMRなどで確認するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm原子の性質に基づき設計された不斉エステル化触媒とその反応。ジオール中の2つの等価な水酸基を区別してエステル化が進行する応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像NNOPh2PCatalystRROHOHCatalystC6H5COCl, i -Pr2EtNRROCOC6H5OHUp to 94 % ee18214151617He678910CNOFNe1415161718SiPSClAr33343536AsSeBrKr

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