2013繊維学部研究紹介
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濱田研究室色と機能を化学で演出!色材と機能薬剤による高付加価値材料の創出繊維の染色(機能加工)では、低分子である染料(機能薬剤)と高分子である繊維を結合させることを目的に、手助けをするための化学物質(助剤)を数多く使用し、まさに「化学」という武器を使って目的を達成しています。この助剤の開発を濱田研究室では行っており、この開発により新たな機能を持つ繊維・高分子材料が生み出されます。この研究開発は、薬剤の作用機構への応用や電子基板の加工への応用など、幅広い分野と関連しており、機構の解明によりまだ見ぬ分野への応用の可能性が広がっています。低分子と高分子の結合は、我々の体内でも起こっているよくある現象です。繊維研究者は、その現象を染料(機能薬剤)と繊維で研究し、薬学研究者は薬剤とタンパク質などの生体高分子で研究しています。このように多くの分野で基礎となる現象ですので、異分野連携が可能で、1つの分野にとらわれず研究を行っていくことが可能です。また、将来新たな分野を切り拓くのに最適な技術が身につけられます。学生時代に研究した内容を活かして染料や染色関連の会社に就職する学生もいますが、化繊メーカー、化学メーカー、繊維関連検査団体に就職し、活躍している卒業生もいます。就職先は多岐にわたっています。濱田州博教授通商産業省工業技術院繊維高分子材料研究所を経て、1988年より信州大学繊維学部に。主な研究分野は、染色機能加工学、染料化学、高分子化学で、繊維に色や機能を付加する研究を行っている。合成した助剤を手に持って観察し、染料、高分子、助剤の結合を調べるためにそれらを含む水溶液の調製する助剤を用いた廃液処理。高分子電解質と助剤を線量水溶液に入れることで、染料を沈殿として凝集除去できる応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像(CH2)nNNCH3(CH2)m-1CH3CH3CH3(CH2)m-1CH3CH3BrBr++--(CH2CH)nSO3Na金属と高分子のナノ粒子が1:1結合しただるま型ナノ粒子を作成写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm高分子を利用して作成した金属ナノワイヤー群石渡研究室ナノ粒子・ナノワイヤー等を自在に作り、並べ、くっつける新しい原理の発見を夢見て石渡研では、高分子・界面活性剤等の有機物の特性を活用しながら、無機のナノワイヤー・ナノロッド・ナノチューブ・ナノリボン・ナノコイル・ナノ球状粒子等を作成し(即ち形態を制御し)、大きさを制御し、ほぐし、2種を合体し(横並びと内外)、表面を保護し、配列し、更にそれらを接着する方法を研究しています。無機物としては、比較的安定な金・銀・白金・銅などの金属が中心ですが、ナノデバイス構築を目指して半導体になりうる各種金属化合物(酸化物・硫化物等)も対象にしています。高分子としては合成高分子の他に生体高分子やその分子集合体を、また界面活性剤として生体膜成分を利用することもあります。ナノ領域の小さなものを作るとき、大きなものをどんどん小さくしていく方法と、原子分子から組み上げて少し大きくする方法があります。化学をバックグラウンドとする石渡研は、後者の方法をとっています。ナノの世界で、自由に配線しナノトランジスター等を組み込めるようになれば、電子技術が飛躍的に発達するでしょう。そのためには様々な制御方法の開発が必要です。遠い将来の夢のために研究しています。製薬会社を含む幅広い化学系メーカー、電子素材メーカー、自動車関連素材メーカー、繊維メーカー等、多岐にわたります。就職後は、広い視野と勇気をもって、学んだ基礎知識と研究生活で得た突破力・解決力を活かしてほしいですね。石渡勉教授信州大学繊維学部助手、准教授等を経て現職。本来の専門は高分子化学。今は、高分子・界面活性剤・生体分子等を活用したナノ科学。京都生まれ。京都大学卒。少林寺拳法正拳士四段。様々なナノ物質を化学合成し(右上挿入図)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを駆使してナノ物質の形態やサイズを確認する(下図)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm応用化学課程化学・材料系研究から広がる未来卒業後の未来像

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