2013繊維学部研究紹介
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再生されたメダカの尾ひれの顕微鏡写真。一見同じに再生された様に見えるが、骨の長さや分岐の位置は同じではない木村研究室生物の形や大きさを決める仕組みの解明イモリやサンショウウオは失った手足を元通りに再生する事ができます。手足が切断されたことにより、一度分化した細胞が分化をリセットして再生芽を作ります。再生芽の細胞は分裂し増えて、伸長しながら神経や骨や筋肉等を作りますが、手足がもとの大きさと長さになったところで止まります。われわれヒトは手足を再生することはできませんが、肝臓は一部を取り除かれても再生し、元の大きさに戻ります。木村研究室では、魚のヒレの再生を材料にして、再生される器官の大きさや長さがどのような仕組みで決まるのかを研究しています。木村研究室では、ほ乳類の胚発生や胎盤の構造、精子の運動機構などの生殖生物学の研究に取り組んできました。現在も卵胞の体外培養などの研究も同時に進めていますが、学生や院生は主にサカナのヒレの再生を研究材料にしています。「動く物を作る」が主な共通課題である機械・ロボット学系では、生物が「動く物をどのように作るのか」を研究テーマにする異色の研究室です。機械やロボットに関心を持つ学生が生物科学の成果を学ぶ事で、イキモノの魅力に触れ、将来の研究開発に活かす事を期待しています。特定の業種や業界に特化した教育を行っていませんが、業界別にまとめると、食品や薬品業界に進む卒業生が多く、次いで医療分野や公務員となります。在学中に経験する、仮説を立て、データを集め、分析して仮説を検証する訓練はどのような職業に就いても普遍的に重要な能力です。木村建准教授信州大学繊維学部助手、応用生物科学科助教授を経て、2012年4月より機械・ロボット学系准教授。ほ乳類の生殖生物学と発生生物学が主な研究分野だったが、対象を哺乳類以外の脊椎動物に移しつつある。メダカのヒレ再生研究はその一環。バイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像メダカの尾ひれの骨の再生過程。上は切断直後。下は切断1日後骨の先に新しい骨が作られる。4日後(上)と5日後(下)小関研究室なんでこんなかたちをしているの?生体組織の「かたち」の不思議を探求!人工物は直線や平面で構成されたものが多いのに、生物の骨ってどうしてこんなぐねぐねした「かたち」をしているのでしょうか?そして、骨の「かたち」が人それぞれで違うのはなぜでしょうか?その一つの理由として、力の加わり方によって骨の「かたち」が変化するリモデリングと呼ばれる機能が挙げられます。小関研究室では、病院で使われているX線CT装置を使って患者さんそれぞれの骨の「かたち」をモデル化し、体の中で骨がどのように運動し、どのような力が加わっているのか、コンピュータを使って解析しています。私たちの骨の「かたち」と力の加わり方の関係がわかれば、成長を予測することが可能となり、骨に負担がかからないように予防することができます。また、病気や怪我の際、医師はコンピュータシミュレーション結果に基づいて診断や治療方法を決定し、患者は結果を見ながら説明を受けることにより自分の症状をよく理解できるようになります。目指しているのは、お医者さんにも患者さんにも優しい未来です。小関研究室では、「生物」を対象に「機械工学」の考え方を「情報工学」を使って検討しています。このため卒業研究を通じて幅広い分野の知識と問題解決能力が身に付きます。卒業後の進路も多彩で、どんな分野でも活躍できるでしょう。小関道彦准教授富士通株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手等を経て、2009年より現職。骨体の力学シミュレーションだけでなく、医用画像計測機器の性能を向上させる研究も行う。歯科医師と共に、歯を噛み締めたときにあごの骨に加わる力を解析しています。この結果は虫歯治療や歯列矯正に使われます顎関節症という病気を診断するために、骨だけが動いて見えるシステムを作りました。これにより医師も患者も安心して治療できますサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cmバイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像

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