2013繊維学部研究紹介
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小林研究室バイオと流体で、ロボット開発と医療に取り組む生物にとって水や空気などの流体はとても大切であり、生物と流体は密接な関係にあります。その中で、小林研究室は「生物の遊泳」と「血流」について取り組んでいます。「生物の遊泳」では、生物の巧みな遊泳を詳細に調べてロボット化に有効なメカニズムは何かを発見し、新しいロボットを創成しています。また、「血流」では、心筋梗塞や脳梗塞の原因でもあるアテローム性動脈硬化症について、動脈硬化斑(プラーク)の破綻メカニズムを、模擬血管を使った実験とコンピュータを用いた数値計算によって検討しています。水棲生物は様々な環境で生息してます。その生物のメカニズムを応用することで、従来のロボットでは難しい、泥の中や、大震災後に問題となった海藻・ロープ・瓦礫が沢山ある海中など、厳しい環境で作業するロボットの実現に寄与するでしょう。また、血流の研究では、患者毎のMRIなどによる医用画像から、動脈硬化斑の脆弱度を即座に数値化する診断支援システムとして発展できるでしょう。研究の関係から、医療機器の企業に就職する学生もいますが、多くは精密機械・自動車・電機・情報通信など、多岐にわたる企業に就職しています。もちろん、公務員なったり教育研究機関の研究者への道を歩む学生もいます。小林俊一教授信州大学繊維学部講師、助教授、准教授を経て2009年から現職。1996-1997年、ジョージア工科大の研究員の時に血流の研究をスタート。現在も国際共同研究として取り組んでいる。バイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像ゴカイの泳ぎを調べて開発した全方向遊泳が可能なロボットアテローム性動脈硬化症のモデル実験と数値計算魚の尾びれのしなやかな動きに注目したフィン。フィンの剛性をリアルタイムで変化させ、推進性能の向上をはかる西川研究室よりしなやかに、より繊細に。ロボットには難しい人の手の動きの再現に挑戦!あなたが何気なくペンで字を書いたり、お箸を使ってご飯を食べるという行為。そこではさまざまな筋肉が収縮し関節が曲がることで、自然な動作が生まれています。そんなしなやかな人間の手の動きを機械で再現しようとしているのが、西川先生の研究室。空気圧で収縮する数多くの人工筋肉を協調させることで、人の手ならではの巧みで繊細な挙動に近づくようロボット開発の研究を続けています。この研究が実を結べば、工場のさまざまな産業用ロボットを一つに集約することができ、より人間の手に近い義手の開発や、介護用ロボットとしての活躍も考えられます。人の手の動きに近いロボットハンドが現実になれば、内視鏡を自在に操って手術を行ったり、在宅の患者さんを遠隔操作で治療する、といった今までは難しい未来も考えられます。また人気の高いマッサージ師の指の動きを記憶させ、数多くのロボットで再現させるといったことも。「メカはヒトにどこまで近づけるか」が西川先生のテーマなのですが、その技術を生かせる場所は多岐にわたっています。研究室が始動したのは2011年の4月のため、卒業生はまだ出ていません。ただ想定されるのは、商品を設計・製造するメーカーや、プログラミングをするIT関連への就職等。ロボット工学はあらゆる知識を必要とするので、進路も多彩になります。西川敦教授大阪大学基礎工学部助手、大阪大学大学院基礎工学研究科准教授等を経て、2010年より現職。筋骨格ロボットをはじめとした生物学、医学、機械工学、ロボット学の融合分野に興味を持っている。バイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm手に取り付けたセンサーからのデータをコンピュータで分析することで、パソコン上で指の動きを忠実に再現することが可能になったロボットハンドの基本技術は、人間と同じ動きをする人工筋肉サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cm柔らかく握るというロボットには難しい動作も思いのままサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cm

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