2013繊維学部研究紹介
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森川研究室生物に学ぶヒトと環境に優しいものづくり船の推進機といえばスクリューが主流ですが、スクリューは水をかき回し水質汚染を促進し、水棲生物や人を傷つける危険性があるなど環境保全と安全性に問題があります。そこで、森川研究室では、安全で環境に優しい推進機を模索し、尾びれを使って高速で泳ぐマグロや巧みな泳ぎをするイルカに注目し、尾びれをスクリューのかわりに使うフィンシップの開発を行っています。イルカの高速で巧みな泳ぎについての研究が進めば、尾びれによる推進方法をイルカ型水中ロボットにも応用でき、海の環境調査やレアメタルなどの海底資源の探査に利用できます。また、病気で尾びれを失ったイルカのための人工尾びれの開発研究も行っていて、イルカがジャンプしたり巧みな泳ぎをする秘密を解明しようとしています。イルカなどの水棲動物の尾びれの動きを模倣した人と環境にやさしい水中推進機を搭載した船や水中ロボットの開発またカタツムリなどの陸棲軟体動物の腹足移動機構を規範とした寝たきりの人の自立を支援する福祉用移動エアマットの開発など生き物のしくみとはたらきを模倣した新たなものづくりをめざします。生き物に学ぶ姿勢を身につけ、ものづくりに生物と工学の知識を活かしていける働きの場は、医療機器から電機メーカー、自動車産業、重工業まで幅広くあり、卒業生は多種多様な場で活躍しています。森川裕久教授秋田大学鉱山学部助手,信州大学繊維学部助教授を経て,2006年より現職。主な研究分野はバイオメカニクス,生物流体工学,福祉工学。イルカの尾びれ型推進機を搭載したフィンシップの実船実験の様子(諏訪湖にて)バイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像人工尾びれをつけたバンドウイルカのフジ(沖縄美ら海水族館)イルカの尾びれ型推進機の船外機橋本研究室バイオに学ぶロボットからバイオと統合するロボットへ生物の機能や構造に学び、それを模倣した機械システムとしてロボットは発展してきました。近年、生物の仕組みをより深く学ぶことにより、生物とロボットが有機的に結合したシステムを実現することが可能となってきました。橋本研究室では、様々なレベルでの生物とロボットの統合により、人に優しいモノづくりの技術の確立を目指しています。具体的には、生物のリズム運動の仕組みに学んだウェアラブル・ロボティックスーツ、人の感情を読み取って癒しを与えるコミュニケーションロボット、高分子ゲルや細胞培養技術を用いた人工筋肉の創製などの研究を行っています。日本は世界でも稀なスピードで高齢化が進んでおり、20年後には三人に一人が65歳以上の高齢者になることが見込まれています。こうした中で近い将来要介護者の増加が必至ですが、バイオロボティクスのアシスティブテクノロジーは、こうした社会問題を解決するキーとなるものと考えられます。高齢者の身体機能の低下や精神的孤独感をアシストするロボット技術によって、子供から高齢者までが幸せに生活できる社会の実現が可能となるでしょう。医療・福祉分野をはじめとして自動車、機械、電気など幅広い分野で、人に優しいモノづくりが必要となってきています。生物学と工学の知識や技術を身についてこれらの分野で活躍できる研究者や技術者を養成しています。橋本稔教授電気通信大学助手、鹿児島大学助教授を経て、1999年より現職。研究分野はバイオロボティクス。個性あふれる学生と、わくわくどきどきの毎日です。皆さんもバイオロボティクスの研究に参加してみませんか。生物のリズム運動に学んだウェアラブル・ロボティックスーツ高分子ゲルや細胞培養技術を用いた人工筋肉の創製バイオエンジニアリング課程機械・ロボット学系研究から広がる未来卒業後の未来像人の気持ちを読み取って癒しを与えるコミュニケーションロボット

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